- 更新日
第二建設事務所管内(品川区、目黒区、大田区、世田谷区及び渋谷区)には、一級河川の多摩川と同水系の野川、仙川、谷沢川、丸子川、海老取川の6河川と二級河川の渋谷川、目黒川、蛇崩川、北沢川、烏山川、立会川、内川、呑川、九品仏川の9河川、計15河川があり、多摩川を除く14河川を都と区が管理しています。このうち、独立水系の目黒川、呑川、立会川の一部と蛇崩川、北沢川、烏山川、九品仏川の全部は覆蓋、暗渠化され下水道幹線として利用されています。
管内河川の流域は、急激な市街化の進行と変貌が著しく、台風や集中豪雨等により、これまで多くの水害を被ってきました。このため、洪水対策として、1時間あたり50mmの降雨に対処できるよう、「中小河川整備事業」で護岸や調節池等の整備を行ってきました。近年はこれまでの目標整備水準を超える集中豪雨などが増加していることから、谷沢川など区部の台地を流れる河川は時間75mm、野川など多摩を流れる河川は時間65㎜に目標整備水準を引き上げ、時間50㎜までは河道整備により洪水を安全に流すことを基本とし、それに調節池・分水路などを組み合わせて、効果的な対策を実施していきます。
また、独立水系である目黒川、呑川、内川、立会川、海老取川は直接東京湾に注いでいるため、下流の低地部では高潮による浸水被害が懸念されています。そこで、「高潮対策事業」として、我が国を襲った台風で史上最大規模と言われる伊勢湾台風級の高潮に対処できるよう、防潮堤などの施設整備を行っています。
また、平成23年の東日本大震災を契機に低地河川の地震・津波対策を見直し策定された「東部低地帯の河川施設整備計画」に基づき、呑川、海老取川及び内川で耐震・耐水対策を進めてきました。令和4年度からは、新たに策定された「東部低地帯の河川施設整備計画(第二期)」に基づき、引続き呑川、海老取川、内川、及び新たに目黒川で耐震対策を進めていきます。
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お知らせ
各河川の整備
野川
野川は、国分寺市東恋ヶ窪に源を発し、途中入間(いりま)川、仙川を合わせた多摩川に合流する延長20.2kmの一級河川です。このうち、当所の管内区間は、多摩川合流点(新二子橋付近)から狛江市境までの延長5.5kmとなっています。中小河川整備事業として行っている1時間50mm規模の護岸改修は、昭和50年度に着手し平成24年度に完了しました。
平成23年度から河床整備工事において低水路幅を広くし、澪筋を再現する手法を取り入れた多自然川づくりをパイロット事業として行い、平成31年度に管内区間の整備工事は完了しています。今後は、環境調査を令和2年度から令和4年度まで3か年実施する予定です。
これにより仙川合流点(仙川護岸整備工事と併せ実施予定)の整備を残し、世田谷区区間の河道整備が完了しました。
- 野川流域(野川、仙川、入間川)
- 野川流域河川整備計画(平成29年7月) 【概要】 【本文】
- 整備状況
仙川
仙川は、小金井市貫井北町に源を発し、野川に合流する延長20.9kmの一級河川です。このうち、当所の管内区間は、野川合流点から調布市境(甲州街道)までの延長6.3kmとなっています。
本区間の中小河川整備事業として行っている1時間50mm改修については、1時間30mm改修が完了した昭和47年度に引続いて着手しており、最下流部である野川合流点の鎌田橋付近を除く区間は平成11年度に完成しています。
鎌田橋付近の改修は、鎌田橋の架替えをし、計画河床面まで掘下げる必要があることから、平成23年度より架替えの準備として、水道管、下水道菅、ガス管および東電,NTT等の架空線の支障物件の移設を行っています。また、平成22、23年度には、護岸改修のための作業架台を鎌田橋上流に設置する工事を実施し、平成26年度から橋梁架替工事期間中の交通切り回しのための仮道路設置工事や支障物件の移設及び撤去工事を進めてきており、平成30年度からは、鎌田橋下部工及び橋梁下部の護岸工事に着手しています。
- 野川流域(野川、仙川、入間川)
- 野川流域河川整備計画(平成29年7月) 【概要】 【本文】
- 整備状況
谷沢川
谷沢川は、東名高速道路高架下の田中橋から多摩川に合流する延長3.7kmと比較的小さな一級河川です。田中橋より上流は、覆蓋化され下水道として整備されているため平常水は極端に少なくなっています。このため、平成6年に比較的水量の豊富な仙川から浄化した水を谷沢川に導水し放流しています。また、本川の下流部には、武蔵野台地の南端に位置する等々力渓谷があり、人々の憩いの場となっています。
中小河川整備として行っている1時間50mm改修は、多摩川合流点からゴルフ橋の1.2kmを計画対象区間として昭和56年度に着手し、平成6年度までに矢川橋までの約0.4kmが完成しました。なお、等々力渓谷内は、50mm改修は行わない方針となっていますが、国の補助を受け環境整備事業として、現況断面を保持しながら石積護岸や落差工等の修景や遊歩道等の整備を行いました。また、ゴルフ橋より上流については、左右岸に道路が走っており、これ以上の河道拡幅は困難な状況です。
このため、谷沢川の改修については、本川と併せて分水路を整備することで対応することとし、平成30年度より準備工事及び本体工事に着手しています。令和4年度はシールド工事及び到達立坑工事を実施するとともに、取水施設工事にも着手しています。
- 谷沢川及び丸子川流域
- 谷沢川及び丸子川流域河川整備計画(平成29年7月)【概要】 【本文】
- 整備状況
- 谷沢川分水路
丸子川
丸子川は、世田谷区岡本付近の仙川との接点を上流端とし、公共溝渠である谷戸川と合流後、国分寺崖線に沿って流下し、世田谷区等々力付近でいったん谷沢川と合流し、さらに南東に流下し、多摩川に合流する延長7.3㎞の一級河川です。
河川は現況のままとし、下水道にて1時間50㎜規模の降雨に対応することとしており、下水道幹線により直接多摩川に排出されます。
- 谷沢川及び丸子川流域
- 谷沢川及び丸子川流域河川整備計画(平成29年7月)【概要】 【本文】
渋谷川(古川)
渋谷川は、JR渋谷駅前の新渋谷橋を上流端とする延長2.4 kmの河川で、渋谷区と港区の区界である天現寺橋から新渋谷橋までを渋谷川といい、天現寺橋より下流は古川と名称を変えて東京湾に注いでいます。
当所管内は新渋谷橋から天現寺橋までの延長2.4kmになります。
渋谷川は、上流が下水道幹線となっており平常水は極めて少ないため、都市河川の清流復活事業計画により下水道局の落合水再生センターで高度処理した再生水を渋谷川の他目黒川、呑川に平成7年度導水し放流しています。この他、地下鉄日比谷線の恵比寿駅付近に湧き出る地下水をポンプで汲み上げ、恵比寿東公園脇から渋谷川に放流しています。
中小河川整備事業としては、概ね1時間50mmの流下能力を有していましたが、護岸が昭和初期に造られ老朽化していたので、補強を兼ねて昭和61年度より優先度の高い区間から護岸工事に着手しました。平成14年度には、恵比寿東公園の右岸を除き完成しました。恵比寿東公園部については、河川整備計画の整備拠点として位置付けられており、渋谷区の公園の改造と一体で護岸整備を行い、平成22年度に完成しました。
目黒川
目黒川は、烏山川と北沢川が合流する世田谷区池尻三丁目を上流端とし、途中蛇崩(じゃくずれ)川を合せ東京湾に注ぐ延長8.0kmの二級河川です。このうち、大橋(国道246号)から北沢・烏山川合流点までの0.6kmは覆蓋され、下水道幹線となっています。また、鈴懸(すずかけ)歩道橋(品川区大崎1丁目)を境に、上流側を中小河川整備事業、下流側を高潮対策事業としています。
- 中小河川整備事業
目黒川の中小河川整備区間は「鈴懸(すずかけ)歩道橋」から「大橋」までの約6.0kmです。
1時間50mmの改修は、昭和53年度に着手した護岸整備が概ね完了しており、洪水を一時貯留する調節池を平成3年に船入場、平成15年に荏原市場跡地に整備しました。令和4年度以降は、未改修部となっている五反田大橋(国道1号)付近の護岸整備を進める予定です。
また令和3年度より、中目黒から池尻大橋の間で改修工事(河床掘削)に着手しました。
さらに、1時間75㎜対策として上流部3支川(北沢川・烏山川・蛇崩川)の洪水を取水する目黒川流域調節池(仮称)の検討に着手する予定です。 - 高潮対策事業・耐震対策事業
目黒川の高潮防御施設整備区間は「河口」から「鈴懸(すずかけ)歩道橋」までの約2.0kmです。平成26年度末における防潮堤の整備率は約99%であり、施工の困難なJR新幹線橋梁部の取付部が未整備となっています。令和4年度は、この取付部の防潮堤整備に向けた検討を行う予定です。
さらに、平成23年の東日本大震災を契機に、更なる耐震・耐水対策を進めることになり、令和4年度は河口からJR東海道本線・京浜東北線間の耐震補強工事に向けた検討を行う予定です。
- 目黒川流域(目黒川、北沢川、烏山川、蛇崩川)
- 目黒川流域河川整備基本計画(平成26年5月) 【基本方針】
- 目黒川流域河川整備計画(平成30年4月) 【概要】 【本文】
- 整備状況
船入場調節池
船入場調節池は、目黒川中・下流部の治水安全度の早期向上を目的として、昭和60 年度から平成2 年度にかけて整備した、地下箱式の調節池です。
目黒川の上流部は、昭和56 年度の水害により河川激甚災害特別緊急事業に採択され、昭和60 年度に護岸整備が完了しましたが、密集市街地である下流部では整備に時間を要していました。このため、早期の治水効果発揮を目的として、昔の船入場跡地を利用して、船入場調節池を整備しました。当施設は、都内で最初に整備された地下箱式調節池となっています。
荏原調節池
荏原調節池は、目黒川中・下流部の治水安全度の早期向上を目的として、中央卸売市場荏原市場跡地を活用して、平成3 年から平成14 年にかけて整備した、地下箱式の調節池です。
当施設の貯留部は地下4層構造で、上層が満杯になると下層へ流入する仕組みとなっています。工事においては、地下に築造する構造物を上から順次施工する工法で行っており、そのため、工事期間中でも出来上がった上層から順次貯水できるとともに、完成後においても排水電力の負担を軽減させるなど、建設時から今日まで浸水被害軽減に効果を発揮してきました。
調節池の上部については、大規模未利用地(荏原市場跡地)の有効利用の観点から、都営住宅、品川区の福祉施設などが建築されています。
内川
内川は、大田区大森の東海道線本線付近から東京湾に注ぐ延長約1.6kmの二級河川です。
河口に水門及び排水機場を設置して高潮に備えています。この水門及び排水機場は江東治水事務所が所管し、日常管理及び操作は大田区に委託しています。
平成10年度に内川環境整備計画を策定し、同年から河口部において河川環境整備を行な・いました。また、河口から大森橋(第一京浜)までの区間については、平成7年の阪神・淡路大震災を契機に、護岸の耐震対策が必要となったため、平成17年度から護岸の耐震補強工事を実施し、22年度に完了しました。
さらに、平成23年の東日本大震災を契機に、更なる耐震・耐水対策を進めており、水門の耐震補強工事が平成27年度、排水機場の耐震・耐水対策工事、水門上流の耐震補強工事が令和3年度に完了しました。令和4年度は大森橋上流の護岸耐震補強工事に向けた検討を行う予定です。
呑川
呑川は、世田谷区新町地先(玉川通り)を源とし、途中九品仏川を合せ東京湾に注ぐ延長約14.4kmの二級河川です。九品仏川合流点から上流約4.9kmは下水道の呑川幹線となっています。高潮対策事業区間は「河口」から「JR東海道本線」までの約3.4kmで、中小河川改修事業区間はこれより上流約6.1kmとなっています。
- 中小河川整備事業
1時間50mm規模の改修は、昭和48年度に着手し昭和61年度に概成しました。加えて、昭和57年度に完成した下水道中原幹線の多摩川への分水により呑川の流下能力は向上しています。第二京浜国道(池上橋)からJR東海道新幹線間約1.3kmについては、平成6年度から鋼矢板護岸の補強を兼ねた河床張に着手し、平成8年度までに仲之橋まで完成しました。その後、平成19年度より工事を再開し、22年度に、道々橋下流約90m、本村橋~新幹線橋梁間約90mを整備して事業が完了しました。 - 高潮対策事業・耐震対策事業
高潮対策事業としては、昭和40年代前半から防潮堤の建設工事に着手し、京浜急行蒲田駅付近を除き、計画天端高は確保されています。しかし、河口から夫婦橋間約2.3kmについては、旧護岸を利用した防潮堤構造であることから、洪水対策としての河床掘削に先立ち根固め工事を実施しており、平成10年度に橋梁取付け部を除き完成しました。
また、同区間において平成7年の阪神・淡路大震災を契機に実施した防潮提の耐震点検の結果、液状化対策等の耐震補強が必要となったため、平成21年度より耐震対策事業に着手しました。さらに、平成23年の東日本大震災を契機に更なる耐震対策を進めており、令和4年度は呑川新橋から八幡橋間、北糀谷橋上流、宝来橋から清水橋間、清水橋から天神橋間、及び天神橋から夫婦橋間の耐震補強工事を行う予定です。
- 呑川流域(呑川、九品仏川)
- 呑川流域河川整備基本方針(平成29年4月) 【 基本方針】
- 呑川流域河川整備計画(平成29年9月) 【 概要】 【 本文】
- 整備状況
海老取川
海老取川は、多摩川から分派し、海老取運河に接続する約1.0kmの一級河川です。
高潮対策事業として行ってきた左岸防潮堤の整備は完了しています。
海老取川には以前より「不法係留船」が数多く停泊していたことから、適正化を図り、平成18年度から平成20年度までの3年間で、高潮などの災害時に船舶等が流出しないように55隻分の係留施設を整備し完了しました。
また、右岸側の護岸前面に一部陥没が発生しているため、平成18年度から防災工事に着手し、平成21年度に完了しました。
現在は、平成23年の東日本大震災を契機とした耐震対策を進めており、平成27年度から着手し、令和4年度は天空橋から稲荷橋間、穴守橋の下流部の耐震補強工事を行う予定です。
谷沢川分水路(整備中)
- 施設名 : 谷沢川分水路
- 施設箇所 : 世田谷区玉堤二丁目地内から同区玉川台一丁目地内まで
- 事業期間 : 平成30年度~令和8年度(予定)
- 施設規模 : 延長約3.2㎞、トンネル内径5.5m
- 事業費 : 約323億円
【分水路工事に関するお知らせ】
- 工事概要※リンク先は外部サイト
- 進捗状況※リンク先は外部サイト
- シールド工事の安全・安心の取り組み
- 令和3年5月 谷沢川分水路工事の進捗状況について(シールドマシン掘進開始)
- 令和4年3月 谷沢川分水路工事の進捗状況について
- 令和4年8月 谷沢川分水路取水施設工事についてのお知らせ
- 令和6年1月 谷沢川分水路工事の進捗状況等について
- 令和6年3月 谷沢川分水路工事の進捗状況等について(その2)
- 令和6年5月 谷沢川分水路工事のシールドマシン到達について
河川の維持管理
当事務所では、海老取川と荏原調節池、船入場調節池において維持管理をしています。
海老取川においては「河川構造物(堤防・護岸)の予防保全計画」(東京都建設局)、荏原調節池と船入場調節池は、『河川構造物(地下調節池)の予防保全計画[設備編]』・『河川構造物(地下調節池・分水路)の予防保全計画[土木構造物編]』(東京都建設局公開)に基づき、予防保全型管理に取り組んでいます。施設の損傷や劣化が進行する前に適切な対策を行うことで、河川構造物を健全な状態に保つとともに維持管理費用を低減・平準化する取組みを実施しています。
関連計画
流域連絡会
東京都では、都民と行政が共通認識に基づき、協働・連携して、地域に親しめる川づくりを進めています。このため、流域の住民や市民団体と区及び都が、河川に係る情報や意見の交換を行うことを目的として、流域連絡会を設置しています。
当所管内の河川では、「内川」流域連絡会を設置し、川づくりのあり方や川とまちづくり等について意見交換を行っています