- 更新日
河川の事業
河川事業は、洪水・高潮等による水害や土砂災害等の危険から都民の生命と暮らしを守るとともに、うるおいのある水辺の形成や、河川利用の推進などを通じて良好な河川環境と都市環境を創出します。河川事業の基本である「中小河川の洪水対策」、「低地河川の高潮・地震対策」、「多摩・島しょ地域の土砂災害対策」をさらに推進するとともに、水辺の緑とにぎわいを取り戻し、川が人々の心を豊かにする「魅力的な水辺空間」となるような整備に取り組んでいきます。
河川の管理と活用
東京都の河川はその地勢から、概ね西部に源を発して東京湾に注いでいます。そのうち、国土交通大臣が指定する一級河川としての多摩川水系、荒川水系、利根川水系、鶴見川水系の92河川、都知事が指定する二級河川としての15河川があり、合計すると、都内の河川は107河川、約858kmになります。
このうち、荒川や利根川など、国土交通省が管理する河川を除く105河川、約711kmを東京都が管理しています。
また、東京都管理河川のうち、区部の46河川については、「特別区における東京都の事務処理の特例に関する条例」により区が管理を行っています。
このほか、区市町村が指定・管理する準用河川が20河川、約33kmあります。
中小河川の整備
台風や集中豪雨による水害から都民の命と暮らしを守るため、1時間あたり50ミリの降雨により生じる洪水に対して安全を確保することを目標として中小河川の整備を進めてきました。
また、近年増加している集中豪雨などにより水害が発生していることから、目標整備水準を年超過確率1/20の規模の降雨に設定し、水害に対する安全性を早期に向上できるように努めています。
時間50ミリまでは河道整備により洪水を安全に流すことを基本とし、それに調節池などを組み合わせることで、地域の状況に応じた効果的な対策を実施しています。
今後は、気候変動に伴う降雨量の増加により風水害リスクの高まりが懸念されることから、「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」(令和5年12月)を策定し、目標整備水準を「気候変動を踏まえた年超過確率1/20の規模の降雨」に引き上げ、優先度を考慮しながら水害対策の強化を図っていきます。
低地河川の整備
東部低地帯の河川整備では、これまで高潮や洪水による多くの災害を受けてきたことから高潮対策等の堤防整備や耐震・耐水対策に取り組んでいます。整備に際しては、テラスの連続化など人々が集い、賑わいが生まれる水辺空間の創出に努めています。
さらに、気候変動による海面上昇や台風の強大化により風水害リスクの高まりが懸念されることから、0.6mの海面上昇と930hPaに強大化した伊勢湾台風級の台風がもたらす高潮の対応を整備目標に掲げ、将来必要となる堤防高等の整理を行いました。
河川環境の整備
水辺の環境づくりや水質・水量の改善を行っております。
河川に関する普及・啓発・利用促進
都民の河川への関心や水害・土砂災害・水難事故への認識を深めてもらうことを目的として、河川に関する様々な普及・啓発を実施しています。 毎年7月の河川愛護月間には、川を歩こう、施設見学会、河川の清掃活動、パネル展示、フォトコンテスト、シンポジウムなど、様々な行事を実施しています。 また、民間事業者と連携したかわてらすⓇの実施、再開発にあわせた河川空間の利活用などの取組によって、河川空間のオープン化を推進しています。
土砂災害対策
土砂災害対策施設の整備、伊豆大島における土砂災害対策の推進、土砂災害警戒区域等の指定や土砂災害警戒情報の提供を行っております。
海岸保全施設の整備
東京湾や島しょ地域の海岸延長約761kmのうち、建設局は台風や季節風などによる波浪から、国土及び海岸環境を保全するため、波浪被害の恐れが高い地域や、海岸の侵食が著しい26海岸、約46kmを海岸保全区域に指定し、護岸や人工リーフなどの海岸保全施設を整備しています。
予防保全型管理の推進
東京都が管理する河川施設、砂防関係施設、海岸保全施設は、経年劣化などの影響により、一部の施設において変状が見受けられます。そこで東京都建設局では、劣化や損傷が進行する前に補修・補強等を行う予防保全型管理の推進に取り組んでいます。
水防活動の支援・取組み
水防活動は、洪水、津波や高潮から都民の生命、財産を守るため、都及び水防管理団体(区市町村)が行う活動であり、河川改修と並び水害の防止・軽減を図る手段として非常に重要です。 都及び水防管理団体の役割は水防法により定められており、水防管理団体は管内における河川の巡視や土のう積みなどの水防活動を行う責任を有します。都は、[1]洪水予報、水防警報等の発表 [2]雨量、河川水位の監視 [3]河川水位、気象情報の伝達 [4]水防管理団体への水防資器材の供与 [5]水防管理団体への技術的支援等を行っています。
東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会
近年、全国各地で水害が頻発、激甚化する中、平成27年9月の関東・東北豪雨による被害を受け、国土交通省では、社会全体で洪水に備える「水防災意識社会再構築ビジョン」を策定し、減災に向けた対策を進めてきましたが、平成28年8月に発生した台風による豪雨災害では、都道府県管理河川といった中小河川においても甚大な被害が発生しました。このような状況を踏まえ、平成29年5月に水防法が改正されました。
これを受け、東京都では、住民に避難情報を発する役割を担う区市町村など関係機関と連携し、洪水氾濫等による被害を軽減するための対策を推進することを目的とする減災協議会を設立しました。
気候変動を踏まえた河川施設のあり方検討委員会
近年、全国では計画規模を超える豪雨により甚大な被害が発生しており、都内では1時間50mm以上の降雨の発生率が増加傾向にあります。また、東部低地帯には、地盤高が満潮位以下で潜在的に浸水リスクの高い地域が広がっており、過去に高潮等による広範囲な水害が発生しています。
このような状況において、今後の気候変動の影響に伴う降雨量の増加や海面上昇、台風の強大化などにより、風水害リスクの高まりが懸念されています。
このため、令和4年6月に学識経験者等を含めた「気候変動を踏まえた河川施設のあり方検討委員会」を設置し、今後の気候変動を踏まえた中小河川の洪水対策や低地河川の高潮対策等の整備方針について検討を行いました。
検討内容を踏まえ、令和5(2023)年12月に「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」を策定しました。本方針では、中小河川において、目標整備水準を気候変動を踏まえた年超過確率1/20※の規模の降雨に引き上げ、優先度を考慮しながら水害対策の強化を図ることとしました。また、低地河川においては、0.6mの海面上昇と930hPaに強大化した伊勢湾台風級の台風がもたらす高潮の対応を整備目標に掲げ、将来必要となる堤防高等の整理を行いました。
河川における高潮対策整備方針検討委員会
建設局では、気候変動に伴う風水害リスクの増大に対して将来に向けた更なる安全・安心を確保していくため、都の河川施設整備の方針として、令和5年12月に今後目指すべき整備目標や整備手法などを取りまとめた「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」を策定しました。
この方針を踏まえ、低地河川における高潮対策について、各河川の最適な整備内容や時期等を検討するため、令和6年6月に学識経験者等を含めた「河川における高潮対策整備方針検討委員会」を立ち上げ、議論を行っています。
河川工事情報
東京都が行っている河川工事の情報をGoogleマップ上で確認することができます。