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はじめに 第一章 下町河川の概要

はじめに

 江東地区の川は、江戸・東京の発展に大きな役割を果たしてきた。そして、つねに人々のくらしに密着していた川であった。
 しかし、工業化に伴う地盤沈下や水害の歴史、水質悪化等により、まちと川、まちと人々の関係は遠ざかってしまった。
 本懇談会は、下町河川がまた再び人々に親しまれる川として復活するよう、河川の整備の方針や都民との協働、連携による川づくりと管理のあり方について、検討を行った。
 報告のあらましは、以下のとおりである。

検討対象河川

第一章 下町河川のあゆみ

1 江東地区の沿革

・湿地から交易地への発展
      ↓
・工場地帯の発展
      ↓
・地盤沈下が始まる
      ↓
・戦災復興時の河川の埋め立て
      ↓
・地盤沈下の停止と工場の転出
      ↓
・木場の移転や工場跡地の住宅化

小名木川風景

2 治水の歴史

  • 江東地区の繰り返す水害の歴史
     (キティ台風・狩野川台風など)
  • 外郭堤防の整備
     (昭和32年~昭和41年)

外郭堤防や水門、排水機場が昭和41年に完成し、その後かつてのような大水害にみまわれることはなくなった。

浸水状況(昭和24年8月(キティ台風・高潮)、総雨量64.9mm、床上浸水41,873戸、床下浸水24,404戸。昭和33年9月(狩野川台風・洪水)、総雨量444.1mm、床上浸水25,624戸、床下浸水94,851戸。)

3 下町河川の今日の姿

  • 外郭堤防に囲まれた江東地区
  • 水質は徐々に改善されてきた
  • 高いコンクリート護岸に隔てられ、人々が川に親しみを感じにくい
河川施設地図

4 下町河川の問題点

  1. (1) 川に近づけない
  2. (2) 川で遊べない
  3. (3) 水がきたない
  4. (4) 生きものが少ない
  5. (5) 川とまちの係わりが薄い
北十間川の写真
沿川に道路はあるが、水面を望むことは難しい (北十間川)

第二章 みんなが求める下町河川の明日の姿

1 基本理念

「人々に親しまれ、くらしのなかに活きる川」

2 目指すべき明日の姿

(1) 親しみ遊べる川
高い護岸の切り下げにより、川辺に近づくことが可能となることから、家族や友人などど水辺で気持ちよく遊べたり、ジョギングや散策など健康づくりもできる川にする。
(2) うるおいと文化を育む川
人々が日常生活の365日を通して、きれいな水にふれ、川の風景を眺めながら川風にふかれ川辺を散策するなど、心をいやし、新たな文化を育む川にする。
(3) 地域の人々の交流、コミュニティの盛んな川
地域の人々が川に親しみをもてるよう、くらしのなかの交流の場となるほか、地元三区で共催する例えばボート大会などのイベントを通して人々の交流が盛んになる川にする。
(4) 生きものと共生する川
残されている自然環境を保全するとともに、人々がふれることのできる良好な水辺環境を整えるなど自然が感じられ、自然観察など社会教育や学習の場ともなる川にする。
(5) まちのにぎわいが生まれる川
沿川の工場や商店街と川の連携をはかり、にぎわう中にも心のふれあいのあるまち、また、舟運利用が活発になる川にする。
(6) まちを守る川
洪水や高潮に対する安全性に加え、地震時の水害からまちを守り、また、被災後の復旧活動や消火活動に役立つ川にする。

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お問い合わせ

河川部計画課低地対策担当
03-5320-5413

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