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道路の建設

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道路は、都民生活を支える最も基礎的な社会基盤として、重要な役割を担っています。この役割とは、膨大な交通需要に対応するとともに、災害時の避難・救援路として、また、電気・ガス・上下水道・電話などの施設を収容する空間としての機能です。 東京の交通渋滞を解消し、国際競争力を高めるとともに、快適で利便性が高く、環境負荷の少ない都市を実現する上で、道路整備は非常に重要です。また、震災時の救援物資輸送や迅速な復旧・復興活動を支え首都機能を守るとともに、延焼遮断帯を形成し、燃え広がらないまちを実現するなど、東京を高度な防災性を備えた都市へ進化させるためにも道路整備は不可欠です。このため、以下の方針に基づき、道路の整備を進めています。

一日の平均交通量グラフ朝夕旅行速度(混雑時旅行速度)グラフ
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整備方針

  1. 首都圏の交通の円滑化を図り、日本全体の社会・経済活動を支える三環状道路を整備する。
  2. 都市の骨格を形成するため、区部の環状・放射方向、多摩の南北方向、区部と多摩を結ぶ東西方向の道路を重点的に整備し、あわせて骨格幹線道路のつながっていない区間や橋梁等を整備する。
  3. 都民の暮らしと安全を守るため、市街地では、住環境を向上させ、地域の円滑な交通を確保する幹線道路を、山間や島しょでは、地域住民の生活基盤を強化し、産業の振興を図る道路を整備する。
  4. 道路交通の円滑化や道路・鉄道双方の安全性の向上を図るため、交差点・交通安全施設の整備、道路と鉄道の立体交差化などを進める。
  5. 震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域(整備地域)の防災性向上を図る都市計画道路(特定整備路線)を整備する。

三環状道路の整備

 首都圏三環状道路とは、首都高速中央環状線、東京外かく環状道路、首都圏中央連絡自動車道の総称です。交通渋滞の解消、環境改善、国際競争力の強化、地域の活性化に資するのみならず、災害時においては、首都機能を堅持し、物資輸送などの円滑な支援・復旧活動を支え、日本の交通の東西分断を防ぐ要となるため、早期完成が不可欠です。

三環状道路の整備の地図

CO2排出量の削減

 首都圏三環状道路の整備による環境改善効果については、CO2排出量が年間で約200~300万t削減される
(東京都と同じ面積の植林で吸収できる量と同等)とされています。

出典:国土交通省資料

東京都とほぼ同じ面積の植林同等の効果

首都高速中央環状線

 首都高速中央環状線は、首都圏三環状道路のうち、最も都心寄りに位置する総延長約47kmの環状道路であり、平成27年3月に全線開通しました。首都圏三環状道路で最初のリングが完成したことにより、新宿から羽田空港の所要時間が約40分から約19分に半減され、定時性が向上する等、事業効果を発揮しています。

東京外かく環状道路
(関越道~東名高速間)

 東京外かく環状道路(外環)は、都心から約15kmの圏域を環状に連絡する延長約85kmの道路です。外環は、都心に流入する通過交通を分散させることにより、首都圏の慢性的な渋滞を解消します。交通の円滑化により、自動車の走行速度が向上することで、排出ガスの大幅な削減が期待され、快適で利便性の高い都市を実現します。
 関越道から東名高速までの約16kmの区間については、沿線地域の生活環境や自然環境への影響を最小限に抑えるため、大深度地下を活用したトンネル構造が採用されています。平成21年5月に事業化され、早期の完成を目指し、国、NEXCO東日本・中日本の3者で整備を進めています。
 東京都は、国から大泉JCTや青梅街道IC地域の用地取得を受託するなど事業者を支援し、整備を推進しています。

外環(関越道~東名高速道)平面図
(JCT、ICは仮称。併用区間は除く。)

首都圏中央連絡自動車道
(高尾山IC~神奈川県境間)

 首都圏三環状道路の最も外側にある首都圏中央連絡自動車道(圏央道)は、都心から40~60kmの圏域を環状に連絡する延長約300kmの道路です。圏央道は、首都圏の業務核都市や物流拠点などを、横浜港や成田空港等と連絡し、広域的な道路ネットワークを形成するなど、多摩地域や首都圏のさらなる発展に対して重要な役割を担います。
 平成26年6月に高尾山ICから相模原愛川ICまでが開通し、東京都内区間が全線開通となり、平成29年2月には茨城県区間が全線開通し、東名高速から東関東道までの6つの高速道路が圏央道で結ばれました。
 これにより、都心経由から圏央道経由へ交通の転換が図られるとともに、甲府から横浜間に新たなバスルートが開設されるなど、様々な効果が現れてきています。

首都高速道路の整備

日本橋区間の地下化

 首都高日本橋区間は、首都高速都心環状線の神田橋JCT から江戸橋JCT に至る1.8km の区間です。
 この区間は、1日あたり約10 万台の自動車が走行する過酷な使用状況にあるため、構造物の損傷が激しく、長期的な安全性を確保するため、構造物の更新が必要となっています。
 日本橋川周辺では、多くの再開発計画が立ち上がり、国家戦略特区の都市再生プロジェクトに位置付けられています。
 首都高速道路株式会社では、都心環状線の交通機能を確保しつつ、まちづくりと連携しながら、日本橋区間の令和17年度の地下ルート開通、令和22年度の高架橋撤去に向けて、令和2年度より整備を進めています。

首都高速道路日本橋区間地下化事業について(首都高速道路(株)HP)
補助第96号線の整備(首都高速道路日本橋区間地下化関連事業)

新京橋連結路(地下)

 新京橋連結路(地下)は、日本橋区間の地下化に当たって江戸橋JCTの都心環状連結路が廃止されることに伴い、大型車の環状方向の交通機能を確保するため、新たな都心環状ルートとして整備する道路です。整備区間は八重洲線と都心環状線を地下で結ぶ延長約1.1kmで、日本橋区間の地下化と合わせて令和17年度の完成を目指し、整備を予定しています。

高速都心環状線 新京橋連結路(地下)
日本橋区間、新京橋連結路の位置図
首都高速道路の整備

区部の道路

 区部の重要な道路は、放射・環状型の道路網です。しかし、依然として整備が必要な区間が残っており、交通渋滞が発生しています。そこで、環状方向や区部と多摩を結ぶ幹線道路のうち、まだつながっていない区間を重点的に整備しています。主な整備路線は、放射第7号線(目白通り)、放射第35・36号線、環状第2号線、環状第3号線、環状第5の1号線、環状第6号線(山手通り)などがあります。

 環状第2号線は、江東区有明から千代田区神田佐久間町までの延長約14kmの骨格幹線道路で、令和4年12月に中央区築地五丁目から港区新橋四丁目までの約1.4kmの本線区間が開通したことにより、環状第2号線の全線開通が実現しました。
 本区間の開通により、地域交通の円滑化や避難経路の多重化による防災性の向上が図られるとともに、臨海部と都心部との連絡を強化し、臨海部のまちづくりを支える都市基盤として重要な役割を果たします。


 環状第3号線は、中央区勝どき二丁目から江東区辰巳二丁目までの延長約27kmの骨格幹線道路で、このうち、新宿区市谷薬王寺町地内から市谷柳町地内の0.4kmの区間が令和4年11月に4車線開放しました。
 これまで2車線だった現道が4車線となり、交通渋滞が緩和されるほか、歩道の拡幅により安全で快適な歩行空間が形成されます。また、道路拡幅により災害時の避難路及び緊急車両の通行路確保や延焼遮断としての効果が図られ、地域の防災性や安全性が期待されます。

区部の道路の写真1
環状第2号線(築地地区)

 環状第5の1号線は、渋谷区広尾五丁目から北区滝野川二丁目までの延長約14kmの骨格幹線道路で、このうち、渋谷区千駄ヶ谷五丁目から新宿区内藤町までの約0.8kmの区間が令和4年12月に交通開放しました。
 これにより、渋谷・新宿の両副都心を結ぶ道路ネットワークが強化されるほか、新宿駅周辺の交通渋滞の緩和による沿道環境の改善が期待されます。
 
  

区部の道路の写真2
環状第5の1号線(千駄ヶ谷)

多摩の道路

 多摩地域では、主要な幹線道路が東西方向と南北方向の格子状に配置された計画となっています。
 現在、調布保谷線や府中所沢・鎌倉街道線(鎌倉街道)など南北方向の道路の整備を進めるとともに、東八道路や新青梅街道など東西方向の道路の整備も行っています。
 調布保谷線(14.2km)は、稲城市矢野口から西東京市北町三丁目に至る、多摩地域を南北方向に結ぶ幹線道路の一つで、交通の円滑化、地域の自立性や都市間連携の強化、防災性の向上に資する重要な路線です。平成27年8月に最後の未開通区間(西東京市内)を交通開放し、全線開通しました。

 

多摩の道路の写真
調布保谷線(神代植物公園付近)
 また、府中所沢線・鎌倉街道線では、国分寺3・2・8号線(約2.5㎞)などで事業を進めており、平成29年3月には多喜窪通りから国分寺3・4・6号線までの約1.1㎞の区間を交通開放し、南北方向のアクセス性が向上するとともに、並行する府中街道の交通量が減少するなどの効果がありました。現在、残る約1.4kmの区間において、街路築造工事などを進めています。
多摩の道路の写真
国分寺3・2・8号線(西武国分寺線との交差部)
 整備にあたっては、沿道の生活環境を保全するため、幅員16mの車道の両側に10mずつの環境施設帯を設置し、総幅員36mの道路としています。環境施設帯には、緑豊かな植樹隊を整備するとともに、歩行者と自動車の分離や無電柱化を進めており、安全で快適な都市空間を創出し、良好な景観形成に配慮した道路としています。 

木密地域における都市計画道路の整備(特定整備路線)

 木造住宅密集地域(木密地域)は、老朽化した木造住宅や狭あいな道路が多いことなどから、防災上の課題を抱えており、「首都直下地震等による東京の被害想定」(令和4年度東京都防災会議)においても、地震火災など大きな被害が想定されています。
 都は、震災時に特に甚大な被害が想定される木密地域(整備地域)約6,500haを、燃え広がらない・燃えないまちにすることを目指し、市街地の不燃化を促進するとともに、延焼遮断や避難路、緊急車両の通行路となるなど、防災性の向上に資する都施行の都市計画道路(特定整備路線)28区間、約25kmの整備を推進しています。このうち、令和3年3月に補助第136号線(関原・梅田)、令和4年10月に補助第26号線(三宿)を交通開放しました。
 特定整備路線の整備に当たっては、関係権利者の生活再建に十分配慮し、理解と協力を得ながら事業を進めていくことが重要です。このため、民間事業者を活用した相談窓口を設置し、移転先情報の提供、建物の建替えプランの提案、税金や権利関係の相談などきめ細やかな対応を図っています。あわせて、優遇金利による移転資金の貸付、都営住宅や代替地のあっせんなど、関係権利者の意向を踏まえた生活再建の支援を行っています。
 引き続き、地域の防災性を向上させる特定整備路線の整備を推進していきます。

補助第136号線(関原・梅田)
補助第136号線(関原・梅田)
補助第26号線(三宿)
補助第26号線(三宿)

東京の道路ネットワーク

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昭和46年の道路ネットワーク
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