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井の頭池だより31 10月

2019年10月28日(月) 大雨後の湧水と水草


武蔵野三大湧水池の一つに数えられている井の頭池は、1960年代に地下水位が低下し、湧水は大きく減少しました。現在では、かつての湧水量にはおよびませんが、降水量が多い時期には地下水位が上昇し、湧水となって湧き出しています。かいぼりで水を抜いたときには、池底を湧水が川のように流れていて驚かされました。
 
先般の大雨をもたらした台風19号と21号では、大雨が降った翌日から数日間、お茶の水池周辺の園路脇で湧き出しが見られました。井の頭池の湧水は通常、池底から湧き出していますが、台風の後には稀に陸上からも湧き出すことがあります。
 
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園路脇の湧水
上記の画像をクリックすると、動画が再生されます。(MP4形式:3.33MB(4秒))
※お使いの機種(端末)によっては、一部動画が再生されないことがあります。

湧水の流れは澄んでいてとてもきれいです。地面の穴からコポコポと出てくる様子を興味深げに眺めてカメラを向ける来園者の姿がありました。2017年10月にも同様の現象があったことを覚えていて、今回の大雨でも湧水が湧くのではないかと思って見に来た、という来園者もいました。
 
ちょろちょろと流れる湧水

台風19号が通過してから、井の頭池の透明度が日に日に上がり、池底までくっきり見えるようになりました。池の水量が増えたので池に地下水を供給する井戸を停止していますが、神田川への流出量はとても多い状態です。池底からかなりの量の湧水が出ているようです。
弁天池は特に透明度が高く、水中のミクリ類やツツイトモがよく見えています。普段はめったに見えないイノカシラフラスコモ(環境省レッドリスト絶滅危惧I類)も見えるので探してみてください。
 
水面に見えるミクリ類
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水中の様子(左からミクリ類、ツツイトモ)
※動画では水中のミクリ類の様子を映しています。
上記の画像をクリックすると、動画が再生されます。(MP4形式:8.34MB(12秒))
※お使いの機種(端末)によっては、一部動画が再生されないことがあります。
 
イノカシラフラスコモの切れ藻

弁天橋や七井橋の欄干には、観察に便利な生きもの紹介サインが設置されています。ぜひご利用ください。
 

2019年10月2日(水) 大幅増加! 井の頭池のトンボ


井の頭かいぼり隊では池のモニタリングの一つとしてトンボの調査をしています。2019年も、トンボの成虫が多く見られる5月から9月に各月1回、池畔を一周してトンボの種類と個体数を記録しました。今シーズンの調査結果を報告します。
 
2018年の調査(3回目のかいぼりが行われた後)では、トンボの種数・個体数が前年よりも多く確認されましたが(既報、2018年10月「池だより」ほか)、2019年は個体数がさらに伸びました。前年同月との比較では2.8~5.3倍の増加です。晴天の日は、水面を見ると常に視界に入るほど、多くのトンボを確認することができました。
 
図.トンボの種別・月別確認数

2019年の特徴は、何と言ってもイトトンボの仲間の大幅な増加です。以前から生息していたクロイトトンボ、アオモンイトトンボと、井の頭池初確認のムスジイトトンボ(東京都レッドリスト(北多摩)では情報不足(DD))が増え、前年同月よりも10.2~111倍の個体数が観察されました。特に多かったムスジイトトンボは、ツツイトモの上でなわばりを占有するオスが、そこかしこで見られて相観でした。
 
ツツイトモにとまるムスジイトトンボ
ボート止めの柵にイトトンボ類の羽化殻がいっぱい!

9月の調査でアカトンボの仲間の2種(アキアカネ、マユタテアカネ)が多く確認されたのも今年の特徴です。アカトンボの個体数は前年同月の9.7倍でした。
 
秋によく見られたマユタテアカネ

そのほかのトンボ類も、種ごとに違いはありますが、多くの種で個体数が増加していました。
 
2018年のかいぼり後にトンボが増加した理由には以下のようなことが考えられます。
 
1.肉食性の外来魚(ブルーギル、コイなど)が取り除かれ、ヤゴの生存率が上がった。
2.水草の生育が維持され、トンボの食物となる生物が増加したり、トンボの産卵環境が向上した。
3.浅場の拡充により、トンボの生息環境が増加した。
4.良好な水質が保たれ、トンボの生息環境が維持された。
 
このような状況が継続することで、2019年の増加につながったと考えられます。水草に産卵するイトトンボ類が増加したのは、今期はツツイトモの生育面積が広かったことと関連していると思われます。
 
トンボ調査で確認された月別個体数(2017~2019年)
ツツイトモに産卵するクロイトトンボ

トンボの種類も、2017年から2019年まで順に17種、21種、26種と増加しています。
トンボの成虫には、新たな生息地へ飛翔し分散していくものがいます。井の頭池での確認種数が増えているのは、公園の近隣地域に生息していた種が、環境のよくなった井の頭池に定着して目にとまりやすくなったためでしょう。これまでの自然再生の取組によって、近隣地域に分布している普通種のトンボは、おおむね出そろったように思われます。
 
トンボ調査で確認された月別種数(2017~2019年)

今年はさらに、これまでこの地域で見ることが少なかった種類が確認されました。キイトトンボ、オナガサナエ、マルタンヤンマ、チョウトンボは、トンボ調査では初めて記録された種です。
飛来数が少ないこれらの種類は、月1回の定例調査では発見されず、任意調査で確認されました。来シーズンは、このうちの何種類かが井の頭池を飛び交うようになることを期待しています。
 
欄干にとまるオナガサナエ[提供:井の頭かいぼり隊]

お問い合わせ

建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192