井の頭池だより31 9月

2019年9月20日(金) 湿地の植物たち


かいぼりが行われたとき、池の数カ所に、池底の泥を寄せて浅場が整備されました。井の頭池の水際部分の多くは、垂直な護岸で水域と陸域とに分けられていましたが、これまでに池岸の9%が、水域と陸域との連続性がある状態に整備されました。
 
整備直後の浅場の様子(お茶の水池上流、2018年6月)

浅場では、泥の中に眠っていた埋土種子などからさまざまな水生・湿生植物が芽生え、サジオモダカなどの希少種も確認されています。
カンエンガヤツリ(環境省レッドリスト絶滅危惧II類)は2018年に初めて確認されました。河川の改修や氾濫などで表土が撹乱されると生えてくる植物です。浅場の整備で表土が動かされ、芽生えの条件が整ったのでしょう。
 
線香花火のようなカンエンガヤツリ。見頃は9~10月

2019年の春から夏は、ジョウロウスゲ(環境省レッドリスト絶滅危惧II類)が目立ちました。初夏の開花期には、大きな目立つ花穂(雌小穂)をつけます。
 
かわいらしいジョウロウスゲの花

七井橋付近の葦島ではトチカガミ(環境省レッドリスト準絶滅危惧)が見られます。このトチカガミは、かつて井の頭池に自生していた時代にひょうたん池付近で採取され、個人宅で保存されていたのを東京都が譲り受けて育てていたものです。今春に葦島へ植え戻したところ、生育範囲が順調に拡がっています。
 
お盆の頃には、トチカガミの上を低く飛ぶマルタンヤンマのメスが確認されました。2016年から行われているトンボのモニタリング調査では初確認。オスはコバルトブルーの眼が美しいことで知られています。来年は井の頭池で羽化したマルタンヤンマが見られるかも・・と期待がふくらみます。
 
トチカガミの上をゆっくり飛翔するマルタンヤンマ[提供:井の頭かいぼり隊]

浅場は一見すると名も分からぬ草だらけの場所のように思えますが、貴重な植物が生育し、トンボの産卵や水鳥の採食にも利用されています。園路から見やすい位置にあるので、ぜひご覧ください。
 

2019年9月9日(月) 外来水草の回収作業


今夏の井の頭池は、最上流の一部はアオコで濁りましたが、水面の大部分では透明感が保たれました。透明度の高い場所では、池底から生えている水草がよく見えます。ほとんどは希少種のツツイトモですが、外来種のコカナダモもときどき見つかっています。コカナダモは増殖して他の水草と競合するなどの問題があり、生態系被害防止外来種リストで「重点対策外来種」に選定されています。
 
水中にコカナダモを発見(中央)[提供:井の頭かいぼり隊]

井の頭かいぼり隊では、水辺生態系保全のために月1回の管理作業を行っています。
6月と8月には、ボート池とお茶の水池で発見されたコカナダモの防除を行いました。
 
箱メガネでコカナダモを探索[提供:井の頭かいぼり隊]

コカナダモを見つけたら根元を見極め、千切れないように慎重に掻き取ります。2回の作業でタライに山盛りのコカナダモを回収しました。
 
鬼熊手で大量ゲット[提供:井の頭かいぼり隊]
引っかけ棒で一網打尽[提供:井の頭かいぼり隊]
回収したコカナダモ[提供:井の頭かいぼり隊]

低温に強いコカナダモは冬になっても生育できます。秋にツツイトモの生育期が終われば、それまでツツイトモの陰で見えていなかったコカナダモを見つけやすくなるかもしれません。
希少な在来種の水草を保全するためにも、コカナダモの回収はしばらく続きそうです。


 

お問い合わせ

建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192