井の頭池だよりR7 6月

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2025年6月19日(木) 浅場の植物が見頃です


井の頭池では、かいぼりをきっかけに水辺再生の取組が始まりました。
池の水を抜いて池干ししている間に、重機や人力で護岸の一部に「浅場」と呼ばれる湿地を造成しました。かいぼり以前は全周が垂直護岸でしたが、全周の9%が陸と池をつなぐエコトーン(移行帯)として生まれ変わりました。浅場は、トンボの産卵場所、稚魚や子ガメのすみか、水鳥の採餌・休息や営巣場所として、さまざまな生きものに利用されています。
 
湿地で休んでいたオオシオカラトンボのオス(上)とメス(下)
(2024年7月)
 
そのような生きもの豊かな浅場には、浅い水深を好む植物や、ヨシなどに覆われていない泥地を好む植物など、多様な湿生植物が生育しています。東京都の絶滅危惧種に指定されているものも多く見られます。
 

ジョウロウスゲ
(絶滅危惧IB類 東京都北多摩)

この浅場は、井の頭かいぼり隊や協働イベント(市民参加型の保全作業イベント)によって、維持管理されています。背の低い植物を覆ってしまうヨシやヒメガマを刈り取ったり、表土を天地返しして洪水後のような撹乱(※)された環境を再現することによって、多様な湿生植物が生育できる環境を保っています。
※撹乱とは、洪水などで表土が掘り起こされたり流されるなどして、元々あった植生がなくなり裸地のようになること。

2025年1月から3月にかけて3回の協働イベントを実施し、のべ75名が参加しました。
このときは、七井橋左岸に近い葦島と呼んでいる島に橋で渡り、水深の深い場所へ土を入れる作業を行いました。土を入れたソリを園路から葦島に渡し、島内を移動させて目的の場所に土を運びました。竹をレールのように使い、重いソリを滑らせて移動させることで、小学生も楽しく作業に参加してくれました。
 
2025年冬の保全作業イベントの様子


作業した場所では、水がヒタヒタになる場所を好むサジオモダカ(絶滅危惧IA類 東京都北多摩)やカンエンガヤツリといった湿生植物が生育しています。
 

カンエンガヤツリ
(準絶滅危惧 東京都北多摩)
 
春に芽生えた湿生植物は、まさに今、見頃を迎えています。これから秋まで、様々な湿生植物が順々に開花結実します。葦島の案内看板の辺りや親水護岸からも観察できます。観察には、池畔や案内所で配布している生きものリーフレット“湿地の植物”をご活用ください。
また、月1回実施しているガイドツアー「井の頭池ちょこっとウォッチング」でも取組成果や自然状況についてご案内しています。ぜひご参加ください。

 

 
 

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建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0364
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