井の頭池だよりR7 4月
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2025年4月24日(木) 4月の井の頭池から 〜アメリカザリガニ防除シーズン開始・カイツブリの子育てが始まりました〜
◆アメリカザリガニ防除シーズン開始
井の頭池では、2017年までに行われた3回のかいぼりにより、肉食性外来魚のオオクチバス、ブルーギル、コイなどを根絶しました。一方で、かいぼりでは泥の中に隠れたり水のある場所へ逃避してしまうアメリカザリガニや外来カメ類を取り除くことができません。そこで、井の頭かいぼり隊では、ワナを使ってアメリカザリガニなどの外来水生生物防除に取り組んでいます。
冬の間は生きものの活性が低くワナに入りにくくなるためお休みしていた防除作業を、4月から再開しました。
ワナ設置の日には、大量のワナを池畔に運び、陸上で組み立てて池に設置しました。陸上作業班、水上作業班に分かれ、隊員がてきぱきと作業を進めました。来園者の皆さんは、「何をしているのか」「ザリガニは捕れたのか」など興味津々の様子でした。
大量のワナを池畔から池に設置
小さなペットボトルの浮きが目印のコンテナ型のワナ、黄色い浮きが目印のドーム型のカゴワナの2種類、合計240個のワナを井の頭池に設置しました。現在、カイツブリの繁殖シーズン真っ只中です。水上作業班はカイツブリの繁殖をじゃましないように、抱卵あるいは抱雛しているカイツブリの巣を大きく迂回しながら作業しました。
コンテナ型のワナ
餌で誘引する
ドーム型のカゴワナ
遮光シートを掛けてあり、
生きものが日陰で休むためにワナに入ってくる
(黄色い浮きが目印)
遮光シートを掛けてあり、
生きものが日陰で休むためにワナに入ってくる
(黄色い浮きが目印)
週1回、ワナの中の生きものの種名や個体数を記録しています。外来種は回収し、在来種は池に戻します。
井の頭池だよりR7 2月
(https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jimusho/seibuk/seibukouen0041/ikedayorir7.2)
で報告したように、アメリカザリガニは、3回目のかいぼり29(2017年12月~2018年3月に実施)の2年後から井の頭池に繁茂した外来の沈水性水草コカナダモを隠れ家にするなどして増えていました。2023年にコカナダモが見られなくなると、2024年には生息密度が急減しました。沈水性水草の増減とアメリカザリガニの生息密度は比例しているかもしれないという仮説は正しいのか、今年も注目して作業に臨みたいと思います。
アメリカザリガニは水生生物を捕食してしまうなど生態系に大きな影響を与えるとして、2023年6月から条件付特定外来生物に指定されました。捕獲や飼育はできますが、野外に逃がす、販売するなどは法律で禁止されています。自宅等で飼育されている方は、外に逃げ出さないように注意してください。
◆カイツブリの子育てが始まりました
2017年までの3回のかいぼり以降、井の頭池では毎年8つがい前後が繁殖し、都内随一のカイツブリ繁殖地となっています。今シーズンは4月末現在、カイツブリ8つがいが滞在しています。
3月下旬から複数のつがいが抱卵し始め、4月中旬には最初のヒナが誕生しました。このつがいは七井橋のすぐ近くに営巣したため、抱卵中から来園者の注目を浴びていました。小さなヒナが産まれると「かわいい〜」とスマホで撮影する人も多く、ちょっとした人だかりができています。
七井橋のカイツブリ家族
園路の近くに巣を造るカイツブリも多く、他の繁殖地と比べると容易に観察できるため、野鳥観察・撮影の人だけでなく一般の来園者にも注目されがちです。しかしながら、抱卵中やヒナを育てている間、親鳥はとても神経質です。長時間、巣の近くに滞在したりカメラのレンズを向け続けることは、営巣放棄につながります。カイツブリたちが安心して子育てできるよう、遠くから静かに見守っていただけますようお願いします。
お問い合わせ
建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0364
記事ID:017-001-20250514-010825