井の頭池だよりR7 10月

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2025年10月21日(火) 井の頭池で繁殖する水鳥カワウ


井の頭池では2017年度までに3回のかいぼりを行いました。かいぼりによって、オオクチバスやブルーギルなどの外来大型肉食魚を根絶し、在来の魚やエビ類の生息数が回復しました。水生生物が増えることで、それらを餌とする水鳥も増加します。かいぼり後に池の水質や水鳥の生息環境が改善し、井の頭池で繁殖する水鳥が見られるようになりました。
 
魚食性のカワウは、かいぼり後に多く飛来するようになった水鳥です。真っ黒い姿で、七井橋の近くの杭によくとまっています。濡れた翼を広げて乾かしている姿が目立ちます。
 
カワウ成鳥 
黒く光沢のある体、エメラルドグリーンの目が特徴です
 
潜水するとかなり遠くまで移動し、浮かび上がってきます。運が良ければギンブナなどを飲み込む様子も観察できます。
 

大物を捕らえたカワウ

かいぼり後、春から夏にかけて数羽のカワウが見られるようになり、2020年からは七井橋付近の木で毎年子育てをしています。
 
図1.カワウの個体数推移(2025年9月末まで)
 
カワウの繁殖期は秋から春にかけてです。10月頃から巣造りが始まり、さまざまなつがいが入れ替わりながら7月頃まで子育てを続けます。
巣の下に落ちているフンや吐き出されたペリットを観察すると、井の頭池で食べたと思われるギンブナやアメリカザリガニのほか、井の頭池には生息していない魚が見られることもあります。カワウの食生活が垣間見え、とても興味深いです。
 
ギンブナ(上)とモツゴ(下の3匹)
 
赤いコイ?
※現在の井の頭池には生息していないため、別の場所で食べたのでしょうか?


井の頭池では、年末と初夏にふ化のピークを迎えることが多いです。巣造りをするカワウは数年ごとに増加し、2024年10月から2025年6月の繁殖期には24回の巣造りが確認されました(同じ巣を別のつがいが再利用することもあります)。

図2.カワウ繁殖数の推移
 

抱卵中に何らかの原因で繁殖が放棄されたり、ふ化直後のヒナが死んでしまうことは、残念ながらよくあります。造巣回数と巣立つヒナの数が比例しないのは、食物量の問題なのか、他に要因があるのか、現時点では分かっていません。

集団営巣地となっていた七井橋たもとの樹木の下には、フン除けのテントが常設されています。しかしながら、テントの外側にもフンが落下し、公園利用者の支障となっておりました。加えて、長年の営巣により樹形が乱れ、枯れ枝の発生など安全面での懸念が生じていたことから、繁殖期終了後の2025年9月に樹形の整姿を目的として剪定作業を実施しました。併せて、シュロ縄を張り、カワウの接近を防止する対策も講じました。

フン除けのテントと剪定後の樹木
 

これから繁殖シーズンを迎えることから、引き続き井の頭池でのカワウの行動を注視してまいります。

 

 
 

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建設局西部公園緑地事務所工事課 0422-47-0364
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