井の頭池だよりR3 8月
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2021年8月31日(火) トンボ舞う夏の井の頭池
今年の夏は、井の頭池で黒いトンボをよく見かけます。水草の上をひらりひらりとゆっくり飛翔するチョウトンボです。幅広の翅が光の反射で紫や青に輝く姿を写真に収めようと、通りがかりに足を止めてスマホを向ける人もいます。
チョウトンボはこれまで、井の頭池では年に1~数回観察される珍しいトンボでした。観察頻度が低かったことから、井の頭池には定着しておらず、他所で羽化したものが井の頭池に飛来していたと考えられてきました。
2020年になると、目撃頻度が増加し、池での産卵も確認されました。
今年は池畔を歩いていると、複数のチョウトンボをたやすく見つけることができます。7月に行ったトンボ調査では18頭を確認しました。
チョウトンボはヒメガマなどの抽水植物や浮葉植物の多い池などに生息します。都内では生息地が減少しており、東京都レッドリストではVU(絶滅危惧2)類、多摩部)に選定されています。こうした中、井の頭池の水辺環境が回復し、チョウトンボの新たな生息地になったのは喜ばしいことです。
夏の井の頭池では、このほかにもさまざまな種類のトンボを見ることができます。
黒いトンボと言えば、ハグロトンボもいます。池畔の草に静かにとまっていて、近づくとヒララララ・・・と飛び去ります。ボート池沿岸や神田川沿いでよく見られます。
大型種でよく見られるのは、水色と黄緑色が涼しげなギンヤンマ。水面付近を高速で飛び回っています。運がよければ、水面に浮かぶ水草などにとまって産卵する様子を観察できます。
大型種ではウチワヤンマもよく見られます。池畔の杭や枯れ枝などの突出物にとまり、なわばりを見張っています。他のトンボが接近すると猛然と追い払って、元の場所に戻ります。
数の上でもっとも多いのはムスジイトトンボ。シオカラトンボなどよりもずっと小さいので気がつきにくいですが、水面に広がる水草の上に、一定の間隔を空けて無数に止まっています。オススメなのは、目線の低いボートからの観察。凝視していると、水草とトンボの世界に迷い込んだような不思議な感覚にとらわれます。
さまざまな種類のトンボを見ていると、池畔の散策もより楽しくなります。橋にある「生きもの看板」や、お茶の水池にある「自然情報板」にはトンボの情報も掲示していますのでご利用ください。
お問い合わせ
建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192
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