井の頭池だよりR2 3月

2021年3月23日(火) 春、生きものたちの繁殖シーズン


春の井の頭池では、さまざまな生きものが繁殖の時期を迎えます。
中でも来園者の関心を集めるのが、カイツブリを始めとした水鳥の繁殖状況です。カイツブリは秋から冬の間にも繁殖することがありますが、繁殖のピークを迎えるのは春から夏にかけての季節です。
 
カイツブリのつがい

井の頭池では、2019年と2020年に過去最多の7つがいが繁殖しました。今年も3月中旬の時点で7つがいが滞在し、池の各所で求愛や造巣などの繁殖行動をしています。抱卵を始めたつがいも確認しています。
 
巣材を運ぶカイツブリ
巣に座るカイツブリ

つがいの数は昨シーズンまでと同じですが、営巣環境やつがいごとの繁殖回数は年によって変化しています。巣の中には、園路に近く、親鳥が警戒しやすいものもあります。観察する際は、カイツブリを驚かせないように少し離れた場所から見守ってください。
 
表 カイツブリの営巣環境ごとの造巣数(2016年度~2020年度) 以前は水面に垂れた枝先に作った巣が中心でしたが、最近は抽水植物群落内やツツイトモ上の巣が増えています。

カイツブリのほかにも、過去に繁殖例のあるアオサギ、カワウ、バンなどの水鳥にも注目が集まります。3月中旬時点では、カワウが造巣を始めているのを確認しました。
 
枝を重ねて巣を造り始めました。
バンのつがい 抽水植物の茂みを好む鳥です。井の頭池の浅場を気に入ってくれるでしょうか。

お茶の水下流にある浅場では、2月下旬にヒキガエルが産卵しました。ヒキガエルは普段は草地や樹林などの地上で暮らし、産卵の時期になると水深の浅い水辺にやってきます。3月中旬にオタマジャクシが誕生しました。
 
ヒキガエルのオタマジャクシ 日当たりの良い浅場は生息に好適な環境です。

 

2021年3月23日(火) 冬の浅場の手入れ


井の頭池には、かいぼりで水を抜いた際に造成した「浅場」があります。最初に造られた浅場は水深30cmほどで、池底で眠っていた埋土種子からヒメガマなどの抽水植物が芽生えるようになりました。
 
造成当初の浅場(2016年3月)

その後、更に多様な湿生植物が生育できる環境にしていくため、お茶の水池の浅場の中に池底の泥を盛り足して、より水深が浅い場所を造りました。
 
浅場の再整備を行ったイベント「ちょこっとかいぼり隊」の様子(2018年3月)

これまでより水深が浅くなった場所には、サジオモダカやカヤツリグサなどの湿生植物が芽生えるようになりました。
 
水深が数センチの浅い湿地

湿地環境は、枯れた抽水植物や、落葉の堆積などによって水深が浅くなり陸地化してくるため、冬の間に、枯れたヒメガマや落ち葉の除去を行っています。地表を覆っていた堆積物が取り払われた場所では、春には再び湿生植物が芽生えてきます。
 
枯れ草の除去作業

湿生植物の仲間には、川が氾濫した後にできる泥地のような撹乱地に生育するものがあります。カンエンガヤツリ(環境省レッドリスト 絶滅危惧II類)のような、環境が安定すると生育が見られなくなってしまう植物たちです。井の頭池のように洪水の起こらない池や湿地では、湿地の土を掘り返すなどして環境を撹乱すると、こうした植物がまた生育するようになります。こうした理由で、湿生植物の多様な生育環境を確保するために、湿地の掘り返し作業も行いました。
 
適度に掘り返された湿地
2020年の初夏に群生したサジオモダカ 今年もたくさん芽生えますように

湿生植物の芽生えという形で作業成果がわかるのはまだ少し先ですが、作業を行った直後には、泥をかき混ぜたことによって露出した植物の根などを食べにオオバンやマガモ、コガモなどの水鳥がやって来ました。
 
湿地で植物をついばむオオバン

井の頭かいぼり隊がご案内するガイドツアー「井の頭池ちょこっとウォッチング」は緊急事態宣言の発令に伴い現地での開催を取りやめ、動画での配信を行っています。現在配信中の動画では、浅場に生育している植物や、水鳥たちの生活について解説しています。ぜひご覧ください。
動画はこちら
 

お問い合わせ

建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192