井の頭池だよりR7 1月
2025年1月24日(金) 井の頭池の湿地を再生中
かいぼり前の井の頭池は、全周が垂直護岸になっており、水辺と陸上が分断されていました。かいぼりを機に護岸の一部(全周の9%)に “浅場”と呼ばれる湿地環境を整備し、生きものが行き来できるような移行帯(エコトーン)をつくりました。浅場には、泥の中で休眠している「埋土種子」の発芽を期待して池底の泥を使用しました。そうしたところ、東京都のレッドリスト記載種などの希少な植物などが芽生え、今では40種以上の水生・湿生植物が確認されています。
ジョウロウスゲ
(絶滅危惧IB類、東京都)
湿生植物は、日当たりがよい湿った場所を好んで生育します。また攪乱依存種といって、洪水などで土壌が掘り起こされて種子に日光が当たることが芽生えのスイッチになる種もあります。再生した湿生植物を保全するために、井の頭かいぼり隊が浅場で作業を行っています。
浅場には、アズマヒキガエルが産卵に来たり、ニホンスッポンやニホンイシガメの幼体が暮らしています。また、サギやカモなどの水鳥が採食するほか、トンボの産卵場所にもなります。浅場は様々な生きものが暮らす生物多様性豊かな場所になっているのです。
ニホンスッポンの幼体(2019年6月)
浅場内にある水深が深い範囲では、園内の作業で発生した土を入れて、水がヒタヒタになるように調整する作業も行っています。こうすることで湿生植物の生育に適した環境が拡がります。今冬は、七井橋のたもとにある葦島でこの作業を行っています。たくさんの土を運搬するのはなかなか骨が折れる作業です。土を乗せたソリを楽に運ぶために板の上を滑らせるなど、工夫して作業しています。
土の運搬作業
(2025年1月、チョコッとかいぼり隊)
(2025年1月、チョコッとかいぼり隊)
作業後には、オオバンやバン、サギ類やカモ類、セキレイ類などが食物を探しにやってきて、よい観察スポットになっています。12月の作業後にはこの場所でタシギも見られました。
食物を探すバン
一般参加イベント、チョコッとかいぼり隊−湿地再生編-で、この作業を体験できます!葦島に渡ることができる機会はなかなかありません。2月23日(日)と3月9日(日)に実施しますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。イベントの詳細は、当サイトの「お知らせ information」をご覧ください。
お問い合わせ
建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0364
記事ID:017-001-20250204-010569