井の頭池だよりR4 12月

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2022年12月1日(木) 2022年の水鳥繁殖事情


2022年も、井の頭池でたくさんのカイツブリのヒナが誕生しました。カイツブリは小型の魚やエビ類、水生昆虫を食べる水鳥で、主にヒメガマなどの抽水植物の茂みに巣を造ります。井の頭池では、かいぼり実施以降に食べものや営巣環境の状況が好転したことで、飛来するつがい数や池全体で誕生するヒナの数が増えてきています。
 
このつがいは1度に5羽のヒナを育てました(2022年7月)

今シーズンは、これまでで最多の11つがいのカイツブリが飛来しました。この内、実際に井の頭池で子育てをしたのは7つがいです。11月末までの調査で、67羽のヒナが誕生し、うち54羽が独り立ちしたことを確認しました。
 
図 井の頭池におけるカイツブリ繁殖数の推移

※大きくなったヒナが、親元から離れていなくなったのか、死亡したかの確認は困難であることから、便宜上、孵化から1ヶ月間生存していたものを独り立ちとしました。
 
カイツブリが繁殖するためには、ヒナの成長段階に合ったさまざまな大きさの魚などがいることが大切です。井の頭池では、かいぼりでオオクチバスやブルーギルなどの外来魚を駆除したことにより、モツゴやスジエビ、トンボのヤゴなど小型の在来生物の生息数が回復しました。多くのヒナが育つということは、それを支える多様な生きものが豊富に生息しているという証拠なのです。
 
ヒナにギンブナの稚魚を給餌する親鳥(2022年6月)

繁殖のためのもう一つの条件が営巣環境です。カイツブリの本来の営巣環境は主にヒメガマやヨシなどの抽水植物の茂みですが、井の頭池には、カイツブリのつがい数に見合った広さの抽水植物群落がありません。そのため、代わりに水面に垂れ下がった木の枝先を利用して巣を造ることがあります。枝先タイプの巣は風や水位変動の影響を受けやすく、ヒナが孵る前に巣が壊れてしまうことがあります。より多くのつがいが本来の営巣環境を利用できるよう、池の環境をさらに良くしていく必要があります。
 
ヒメガマの茂みに造られた巣(2022年5月)

カイツブリのほかに、カワウも繁殖が確認されました。春から夏にかけて3つがいが営巣したほか、秋以降に営巣を始めたつがいもいて、11月末の時点で4つがいが抱卵中です。カイツブリよりも体が大きいカワウは、ギンブナやナマズなどの大きめの魚を食べています。営巣場所は、七井橋たもとの高木の上です。今回も、巣の下には糞などの落下物を避ける覆いを設置しています。無事にヒナ誕生となるか、どうぞ温かく見守ってください。
 
春の子育ての様子 体が大きいと給餌シーンも迫力満点です(2022年6月)


 

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