井の頭池だよりR5 2月

2023年2月8日(水) 豊かな水辺の秘訣!湿地の管理作業


井の頭池には、かいぼりの際に造成した「浅場」と呼ばれる湿地環境があります。井の頭池の貴重な湿地環境である浅場を維持するためには、年間を通してさまざまな管理作業が必要です。井の頭かいぼり隊では、この冬も各浅場で落ち葉かきや枯れ草の除去、陸地化した場所の掘り下げなどを行っています。
 
枯れたヨシやガマ類の刈り取り作業 [提供:井の頭かいぼり隊]

弁天池下流の浅場に生育するカワヂシャ(東京都レッドリスト:絶滅危惧II類)やお茶の水池の浅場で見られるカンエンガヤツリ(東京都レッドリスト:準絶滅危惧)などは、日当たりの良く湿潤な環境を好み、ヨシやガマが優占するようになった場所では生育することができません。ヨシなどの大型植物が枯れて堆積していくと陸地化も進んでいくため、冬場には枯れた植物の刈り取りや落ち葉かきが欠かせません。
 
湿潤な環境に生育するカワヂシャ(2022年4月)
線香花火のような穂をつけるカンエンガヤツリ(2022年9月)

また、これらの植物は、耕作や河川の氾濫などによって表土の撹乱が起きることで芽生えてくるという特徴があります。そのため、浅場の表土を掘って土を動かす作業が重要になります。陸地化した場所で土を掘り、水深の深い場所に入れることでひたひたの湿地を保っています。
 
冬の名物・湿地掘り作業!寒い時期でも体が温まります
荒らされているようにも見えますが、このぐちゃぐちゃ具合が大事

この湿地環境を利用しているのは植物だけではありません。草刈りや掘り下げを行った浅場には、水鳥がよくやってきます。休息場所として利用していたり、泥の上で昆虫や植物の種を食べていたりと、さまざまな行動が見られます。
 
浅場で採食するバン

ヒキガエルは、産卵場所として浅い池を好みます。吸盤を持たないヒキガエルは垂直護岸で囲まれたままの池では溺れてしまいますが、陸となだらかにつながる浅場は産卵場所にぴったりです。今年も、1月の作業日に複数のヒキガエルを発見しました。
 
産卵にやってきたヒキガエルのつがい [提供:井の頭かいぼり隊]

現在整備されている浅場は、たくさんの生きものが利用する環境になっています。これからも良い湿地環境を維持できるよう作業に励んでいきます。


 

お問い合わせ

建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192
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