井の頭池だよりR4 8月

2022年8月11日(木) トンボで賑わう夏の井の頭池


夏の井の頭池は、たくさんのトンボで賑わいます。井の頭かいぼり隊では、池の環境の状態を把握するために様々な生物調査を行っており、5月から9月までは月に1回トンボの調査を行っています。今回の記事では、今年7月までの調査結果を元に、2022年度トンボ速報をお伝えします。
 
5月の調査の時点で飛び抜けて確認数が多かったのが、クロイトトンボとムスジイトトンボです。これらのイトトンボは、浮葉植物や水面まで伸びた沈水植物の繁茂する環境を好みます。井の頭池では、水草のツツイトモが池全体に繁茂した2019年から確認数が増えてきました。今年はムスジイトトンボが特に多く、5月から7月までの調査で、毎回2000頭以上を確認しています。
 
水面を漂うアオミドロ類に産卵するムスジイトトンボ

2020年以降外来種のコカナダモの分布が広がり、イトトンボたちが利用している水草が在来種から外来種に置き換わってしまっているのが残念な状況です。現在イトトンボたちが利用しているのは、千切れて水面に浮かんだコカナダモの切れ藻やアオミドロ類です。8月に入り、水面を漂っていたコカナダモの切れ藻やアオミドロ類が急速に消失しました。水面を漂う植物質がなくなったことにより、イトトンボの生息状況に変化が表れるかもしれません。
 
他にも、ここ数年で確認数が増加してきたトンボがいます。抽水植物の繁茂する水辺を好む、チョウトンボやコフキトンボです。特にチョウトンボは、かつては年に数頭飛来する程度だったのが、2020年には井の頭池での産卵が確認され、今年7月の調査では12頭が確認されました。浅場整備などの取り組みにより生息環境が向上したことで、井の頭池で安定的に生息できるようになったと言えます。
 
ヒメガマの先端にとまるチョウトンボ 青紫に輝く翅が美しいトンボです
コフキトンボ こちらも抽水植物の先端に止まっている様子がよく見られます
こちらは「オビトンボ型」と呼ばれる体色のコフキトンボのメス 赤味を帯びた翅に帯状の模様が表れます

他には、コオニヤンマも以前に比べて確認数が増えてきています。他のトンボに比べれば数は少ないですが、大型のためよく目立ちます。体の大きさに比べて頭が小さいのが特徴です。見かけた際はぜひご注目ください。
 


 

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建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192
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