井の頭池だよりR3 1月

2022年1月31日(月) 井の頭池のカイツブリ 2021年の繁殖状況


カイツブリは井の頭池で繁殖する代表的な水鳥です。井の頭池ではオオクチバスなどの外来魚をかいぼりで駆除したことによって小魚やエビなどが回復し、カイツブリの生息数が増加しました。1回目のかいぼりが行われた2014年以降、カイツブリのつがい数やヒナ数が増加し、ここ数年は営巣環境にも変化が表れています。
 
カイツブリの親子(2021年9月)

2021年は井の頭池で7つがいのカイツブリが営巣しました。孵化を確認したヒナ数は43羽、このうち独り立ちしたのは32羽でした。カイツブリの繁殖数の推移を図に示しました。この3年間、つがい数は同数で推移しています。2021年の孵化数と独り立ち数は前年よりもやや少なめでした。
 
図.井の頭池におけるカイツブリ繁殖数の推移 第3回井の頭池かいぼり報告会資料集 P.23 に加筆

※カイツブリの独り立ち数
カイツブリの子育てでは、親鳥が大きくなったヒナを追い払って独り立ちさせます。調査では、カイツブリを四六時中は観察していないため、ヒナが追い払われたのか、その前に死んでしまったのか、はっきりわかりません。そのため本調査では、孵化から1ヶ月を経過した時点で生存していたヒナを、便宜的に独り立ちしたものとみなしています。
 
井の頭池のカイツブリは、かいぼりの取組が始まって以来、繁殖数が多い状態で推移しています。その理由は、食物となる小魚やエビ類、ヤゴなどの水生生物が豊富にいるためと考えられます。カイツブリの親は、ヒナがまだ小さいうちは、稚魚のように小さな獲物を与え、ヒナの成長段階に応じてさまざまな種類・大きさの水生生物を利用しています。オオクチバスやブルーギルばかりが増えてしまうと、カイツブリが利用できる獲物のレパートリーが少なくなり、繁殖できなくなってしまいます。
 
ハゼ科のウキゴリを捕らえたカイツブリ(2021年6月)
ギンヤンマも食べます(2020年8月)

カイツブリは、一般的にヨシやガマなどの抽水植物の茂みに巣を造ります。沈水植物(茎や葉が水中にあるタイプの水草)が豊富な水域では、水上にまで伸びた沈水植物の上に巣を造ります。かいぼり前の井の頭池には水生植物が茂っていなかったため、カイツブリは水中に倒れ込んでいる樹木の枝先に巣を造るしかありませんでした。枝先型の巣は、強風や、大雨による水位上昇に弱く、崩壊したり漂流してしまうことがあります。2021年は、巣を造った樹木が、抱卵途中でだんだん傾いてしまい、営巣放棄につながった事例もありました。
 
枝先に造った巣(2019年9月)

井の頭公園では、かいぼりの際に池底の泥を岸辺に寄せ、抽水植物が生育しやすい浅場を整備しました。その結果、近年は岸付近にヒメガマなどが生育して茂みを形成するようになっています。浅場の抽水植物は少しずつ拡がっており、2018年にはカイツブリが初めてその茂みに営巣しました。その後、抽水植物型を利用した巣は少しずつ増加しています(表)。
 
ヒメガマの茂みに造った巣(2021年8月)
表.カイツブリの環境別営巣数

井の頭池ではかいぼりによって池水の透明度が向上し、沈水植物も生育するようになりました。そのうちのひとつのツツイトモは、生育面積が年々拡がっていき、2019年には水面に達したツツイトモの上に営巣するカイツブリが現れました。かいぼりを契機にヒメガマやツツイトモなどの水生植物が生育するようになり、本来の安全な営巣環境に巣を造るカイツブリが増加しています。
 
沈水植物の上に造った巣(2020年8月)

カイツブリの繁殖数は、池の環境だけでなく、他のつがいとの関係や気象条件などによっても変化します。繁殖数だけを比べるのではなく、他の要因についてもモニタリングを継続し、池の状況を把握していくことが大切です。
カイツブリは、早ければ2月には繁殖を始めるつがいがいます。今シーズンも井の頭池でのカイツブリの子育てを観察できることを楽しみにしています。

 

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建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192