井の頭池だよりR6 9月

2024年9月12日(木) 武蔵野三大湧水池 井の頭池に湧水が出た!


井の頭池はかつて、三宝寺池(練馬区)、善福寺池(杉並区)とともに「武蔵野三大湧水池」と呼ばれていました。武蔵野台地の標高50mの崖線から浸み出る豊富な湧水が、これらの池を形作っていたのです。
都市化や生活用水として地下水が大量に汲み上げられたことにより、地下水位が低下するなどの影響が生じ、いずれの池も湧水量が激減し、現在は井戸からポンプで汲み上げて給水しています。
しかし、大雨が降った後には地下水位が急上昇し、地表からの湧水が見られることがあります。

8月末、台風10号の影響で大雨が降り、井の頭池の池畔では湧水が多数見られました。
8月29日 園路に湧水が流れる様子 別ウィンドウで表示します
8/29 園路が湧水でじゃぶじゃぶでした
動画:お茶の水池園路脇の湧水(9/6)
※上記の画像をクリックすると、動画が再生されます。(MP4形式:6.5MB11秒))
※お使いの機種(端末)によっては、一部動画が再生されないことがあります。

お茶の水池に面したハンノキ林エリアでは堆積土を除去した窪地に湧水が満ちて、見たことのない美しい光景が広がっています。こんなに透明な水があるのは珍しいと、来園者がカメラを向けていました。
2月 堆積していた土を除去する様子
2月の様子 堆積していた土を除去しました この作業は2019年度から継続して行っており、年々窪地を広げて湿地環境を再生しています
7月 梅雨の影響で地下水位が上昇している様子
7月の様子 梅雨の影響で地下水位が上昇してきました
9月初め 満水のハンノキ林の写真
9月初めの様子 満水のハンノキ林

落葉樹のハンノキは、地下水位の高い湿潤な環境を好みます。東京都レッドリストでは絶滅危惧II類で、まとまった本数が生育しているこの場所は貴重な生育地です。公園利用の歴史の中で、ハンノキ林に土砂が堆積したり、踏み固めによる乾燥化が進んだりしました。2018年の台風でハンノキの老木が何本か倒れたことをきっかけに、ハンノキの生育に適した湿地環境を再生する取組が始まりました。堆積土を除去した窪地には、大雨により地下水位が上昇すると湧水が溜まるようになりました。

陸上で湧水が出ているということは、池底からも湧水が出ています。井の頭池の水位が上昇し、大雨のあと晴れた日が続いていてもなかなか水位が下がらないことからも湧水量が多いことが想像できます。このおかげで、植物プランクトンなどの発生により緑色になっていた池水は透明度を増し、池底まで見えるようになりました。
池底からミクリの仲間が生えている様子
池底からミクリの仲間が生えています
弁天橋から見える砂礫底や水草の写真
弁天橋からは砂礫底や水草がよく見えます

しばらくは透明な池やハンノキ林に湧水が溜まっている様子が楽しめそうです。
観察するときには、橋に設置している生きものサインや生きものリーフレットもご活用ください。

 

お問い合わせ

建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0364
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