井の頭池だよりR6 6月
2024年6月21日(金) カイツブリの子育てシーズンです!
井の頭池では、6月中旬現在4つがいのカイツブリが子育て中です。そのほかにも求愛や巣造りをしているつがいがおり、池全体では計7~8つがいを確認しています。
カイツブリの親子(弁天池)
今では都内有数のカイツブリ繁殖地となった井の頭池ですが、かいぼり前は繁殖できない年がありました。オオクチバスやブルーギルなどの肉食性外来魚が蔓延し、カイツブリの食物となる魚やエビ類が激減したためです。かいぼりで肉食性外来魚を根絶し在来種が回復したことで、多くのカイツブリが繁殖できるようになったのです。
カイツブリ繁殖数の推移
出典:2003~2015年は、井の頭かんさつ会 田中利秋氏の調査による(よみがえる!井の頭池!かいぼり報告会資料集「かいぼりで変わった水鳥の暮らし」ほか)
※独り立ち数は、ふ化から1ヶ月後に生存していたヒナの数とした。
カイツブリの繁殖成功を左右するのは食物、営巣環境などの様々な要因がありますが、かいぼり後の繁殖経過を見ると、食物量が大きなカギを握っていると考えられます。
カイツブリは、ヒナの成長に合わせて給餌する食物も小さいサイズから大きいサイズへと変わっていくため、少なくても子育て期間中の2ヶ月ほど、稚魚(稚エビ)から成体まで様々なサイズの魚やエビが生息していることが重要となります。
小さなヒナには小さなエビを給餌 (2020年5月)
大きなヒナはギンブナ幼魚を食べることも (2020年7月)
昨年、繁殖つがいは10つがいと多かったものの、その前年よりふ化数や独り立ち数が減少しました。理由は断定できませんが、カイツブリの食べられるサイズの生きものが少なかったなど食物面での影響もあったのかもしれません。
この春、カイツブリの抱卵が初めて確認されたのは5月初め。今までの繁殖シーズンは3月から4月に抱卵を開始することが多かったので、かなり遅めでした。
今シーズン、モツゴやウキゴリ、テナガエビ、スジエビなどの今年生まれの小さな個体はそれほど多くは見られていません。5月下旬くらいからようやく小さな個体が見られるようになった印象です。カイツブリの繁殖開始が遅れたのと関係があるのか、気になるところです。
6月中旬には、かいぼり後に広がったヒメガマの茂みや、2019年以来の広がりを見せているツツイトモ(東京都レッドリスト(北多摩)絶滅危惧IB類)の上に巣を構えている様子が見られています。たくさん食べてヒナがすくすくと育ってくれることを願っています。
お問い合わせ
建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0364
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