井の頭池だより30 6月
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2018年6月29日(金)
この時期の井の頭池では、トンボが飛んでいるのがよく見られます。トンボと言えば秋というイメージがあるかもしれませんが、種類が豊富なのは6月から7月の今の時期です。
かいぼり隊では井の頭池の自然の状況を把握するため5月から9月に月1回、トンボ調査を実施しています。調査は晴天の日を選び、池を周回するコースをゆっくり歩きながら、水面上、杭、枝先などにいるトンボを探します。発見したトンボは、個体ごとに種名と発見位置、繁殖行動などを記録します。
井の頭池で初夏から盛夏に観察しやすい種類をいくつか紹介します。
全長7~8cmと一際大きなトンボはオオヤマトンボです。緑色の眼、黒と黄色の体色がよく目立ちます。岸に沿ってパトロール飛翔するオスをよく見かけます。
[提供:斎藤豊広氏]
昨年度の調査では14種のトンボが確認されました。今年はすでに12種が確認されています。かいぼりを通じて自然再生が進む井の頭池で、今後どんなトンボが見られるのかご注目ください☆
2018年6月20日(水)
かいぼり後の井の頭池は、驚異的な透明度で池底がハッキリ見えます。最近の高温のためか、少し緑色の濁りが出てきましたが、池底から生える水草がとてもよく見えています。
井の頭かいぼり隊は、池のモニタリング調査の一環として水草も調べています。
今回はその活動の一コマをお届けします。
朝の打合せでは、その日の調査範囲と、これまでの調査で分かっている水草生育範囲を確認します。どこで水草を見つけられるか、みんな真剣に聞いています。
池に移動したら、フローター(作業艇)に乗って調査を開始。
水上をゆっくり移動しながら箱メガネで水草を探します。
各所で見つかる水草に、大忙しのかいぼり隊。専門調査員と一緒に水草の種類を同定します。
昔の井の頭池では、このような水草の群生が池の各所で見られたといいます。
とても美しかったであろうこんな光景をよみがえらせたいですね。
[公益財団法人 東京都公園協会 所蔵]
2018年6月19日(火)
かいぼり隊は井の頭池での活動のほかに、年に2~3回の研修を行っています。
2018年5月19日に実施した今年第1回目の研修では、湿地帯の貴公子こと、福岡県保健環境研究所の中島淳さんに「身近な湿地帯生物と共に生きる21世紀を目指して」と題して講演をしていただきました!
この日の予定は、午前にモニタリング活動、午後に研修(座学)の2本立てとなっており、午前中は中島さんも一緒に池に入り、井の頭池の様子を観察していらっしゃいました
講演には、かいぼり隊のほかに、井の頭かんさつ会、東京都の職員も参加し、会場は補助席も使うほど盛況でした。
講演では、エコトーンの重要性や、貴重種だけでなく普通種も含めたすべての在来種を保全対象とすべきであること、生き物を増やすためには生息環境の保全が重要であることについて、湿地愛溢れる語りでお話しいただきました。
井の頭池では豊かな水辺環境の再生を目指し、かいぼりのほかに、浅場整備などのさまざまな取り組みを行っています。
今回の研修は、今後の井の頭池での自然再生を考えていくうえでのヒントがたくさんの、とても有意義なものとなりました。
★中島淳さんプロフィール★ | |
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専門 | :湿地帯生物を対象とした記載的な自然史研究 |
好きな生き物 | :カマツカ、ドジョウ、ヒメドロムシ、ゲンゴロウ |
著書 | :『湿地帯中毒:身近な魚の自然史研究(東海大学出版部)』 『日本のドジョウ(山と渓谷社)』 『小学館の図鑑Z 日本魚類館(小学館、分担執筆、ドジョウ科ほか)』 『福岡県の水生昆虫(株式会社マツモト)』 |