井の頭池だよりR3 7月
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2021年7月30日(金) 今年も実施中、アメリカザリガニ捕獲活動
井の頭池では、2013年度、2015年度、2017年度の3回のかいぼり後に水の透明度が向上してきました。水草に被害を及ぼす外来魚のコイやソウギョをかいぼり時に取り除いた効果もあって、沈水植物(茎葉が水中にある水草)も生育するようになりました。1957年に井の頭池で発見され、後に絶滅したと考えられていたイノカシラフラスコモをはじめ、ツツイトモなど、環境省と東京都のレッドリストで絶滅危惧種に選定されている種も確認されています。
このような水生植物に被害を及ぼす、やっかいな外来種がいます。アメリカザリガニです。
アメリカザリガニは水辺に生息するさまざまな動植物を食べますが、中でも水草(とくに沈水植物や、葉が水面に浮く浮葉植物)に大きな被害を与えることが知られています。水草を直接食べるほか、水草の茂みにいる水生生物を捕らえるために水草を切断します。その結果、アメリカザリガニの生息密度が高い池や湿地では水草が消失し、水草の茂みで生活していた水生昆虫やエビなどのすみかがなくなります。水草がなくなることで水底の泥が巻き上がり、水も濁ってしまいます。
井の頭池ではアメリカザリガニによる被害を防止するために、ワナによる捕獲活動を行っています。捕獲活動は2014年に開始し、ワナを順次増設してきました。例年、水温が上昇してアメリカザリガニが活発に活動する4月から11月にワナを設置し、ボランティア「井の頭かいぼり隊」と東京都の協働で毎週ワナを引き揚げています。
外来種対策では、駆除をする一方で、外来種自身が繁殖してまた増える点が難しいところです。井の頭池では継続的な捕獲活動によってアメリカザリガニの個体数が抑えられていると考えられますが、2020年は捕獲数に増加の兆候が見られました。2021年は、前年に約150個使用していたワナを約170個に増やし、さらに捕獲効率の高いワナ種への転換も進めて、アメリカザリガニの生息密度を減らそうと奮闘しています。
7月以降、複数の報道機関が井の頭池でのアメリカザリガニ捕獲活動の様子を取材に訪れました。このように関心が高まっているときにこそ、積極的に普及啓発活動をして池の状況や外来種対策の取組を伝えたいところですが、7月末現在、緊急事態宣言発出のためボランティア活動は休止中です。当面は池だよりやかいぼり新聞を中心に情報発信をしていきます。
参考:環境省ホームページ 日本の外来種対策「アメリカザリガニ」
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建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192
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