井の頭池だよりR8 3月

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2026年3月14日(土) カイツブリの子育てが始まりました


2017年度までの3回のかいぼり後、井の頭池は都内随一のカイツブリ繁殖地となりました。
カイツブリは魚食性の水鳥で、潜水して魚やエビ類、水生昆虫などを食べます。1回目のかいぼり(かいぼり25)前は外来魚のオオクチバスやブルーギルなどにカイツブリの食物となる水生生物が捕食されていたため、カイツブリは繁殖どころか、井の頭池で姿が見られなくなっていました。かいぼりで大型の肉食性外来魚を根絶した結果、在来魚やエビ類などの生息数が回復し、カイツブリの繁殖つがい数が徐々に増えました。2025年の調査では8つがいが産卵、ふ化1ヶ月後まで生存して独り立ちしたとみなしたヒナは29羽でした。
 

図1.カイツブリの繁殖数
※2003〜2015年は井の頭かんさつ会 田中利秋氏の調査による(出典:よみがえる!井の頭池!かいぼり報告会資料集「かいぼりで変わった水鳥の暮らし」ほか)
※独り立ち数は、ふ化から1ヶ月後に生存していたヒナの数とした。

カイツブリの繁殖シーズンは一般的に4〜7月頃です。井の頭池では年によって前後しますが、3月頃から求愛や巣材を運ぶつがいが見られるようになり、9月頃まで同じつがいが1〜3回ほど子育てをします。餌となる食物が豊富などの繁殖条件がよければ秋や冬も繁殖することがあり、11月に産卵し年末にかけて子育てをした年もありました。

カイツブリはどのような場所で営巣しているのでしょうか。
井の頭池でよく目立つのは、水面に垂れ下がっている木の枝に落ち葉や長い葉などを引っかけてつくった巣(水面枝の巣)です。しかし、水面枝の巣は風やボートによる波で揺れて壊れたり、池の水位変化で枝から離れて流されてしまうことがあります。鳥やヘビが枝を伝って巣にやって来て、卵やヒナを食べてしまう恐れもあります。
 

水面枝の巣(2019年6月)

本来、カイツブリは、水中から生えるガマやヒメガマ、ヨシなどの抽水植物の茎に水草などを絡めて浮巣をつくります。抽水植物の茂みに造られた浮巣は風が吹いても大雨などで水位が多少変化しても壊れず、カイツブリにとってはよい営巣場所です。井の頭池では、かいぼりをきっかけに整備・再整備された浅場を中心に抽水植物が拡がり、カイツブリの営巣に適した環境が増加しました。
 

ヒメガマの巣(2023年7月)

ほかにも、ツツイトモのような沈水性の水草が豊富な年は、水面に達した水草の上に浮巣をつくります。池の中にきらきらと水草が拡がり、その上でカイツブリが子育てをしている様子は何度見ても美しいものです。
 

ツツイトモの巣(2019年7月)
 

抽水植物が少なかった頃は主に水面枝で営巣していたカイツブリですが、抽水植物の茂みが拡がってくるとヒメガマやヨシに巣をつくるようになりました。2022年以降は水面枝の巣よりも抽水植物の茂みに多く営巣しています。水辺の自然再生の取組によって、浅場や抽水植物群落の手入れを行い、良質な環境が維持されている成果だと考えられます。

表1.カイツブリが抱卵した巣の営巣環境

 

これから池の各所でカイツブリたちの求愛や営巣が見られることでしょう。3月上旬には、七井橋近くのヒメガマの中でカイツブリが抱卵を始めていました。順調にいけば4月にはヒナが見られるでしょうか。
カイツブリを始めとする野鳥の観察では、巣に近付きすぎないようお願いします。長時間、巣を観察・撮影することは野鳥にとって大きなストレスとなり、営巣をやめてしまうこともあります。これからも野鳥たちにとって子育てしやすい井の頭池であるよう、皆さまのご配慮をお願いいたします。

 

 

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建設局西部公園緑地事務所工事課 0422-47-0364
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