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神田川上流懇談会議事録(第7回)

開催日時 平成17年2月10日(木)14:30~17:00
開催場所 神田川取水施設管理棟会議室

懇談会風景

 去る平成17年2月10日(木)の午後2時半より、第7回神田川上流懇談会が「神田川再生構想検討会」の最終報告等をテーマに開催されました。
 当日は、都民委員十名、臨時委員一名、行政委員十一名が出席し、東京都建設局河川部の担当者から神田川再生構想検討会に関する最終報告の説明が行われた後、都民委員と行政委員による意見交換が行われました。

会議冒頭に座長から挨拶があった後、東京都建設局河川部計画課中小河川係の担当者より、現在進行中の神田川再生構想検討会の最終報告がありました。

 まず、都市河川である神田川の総合的な治水対策として、現在ハード面として、護岸の整備、分水路の整備、調節池の設置による治水対策、そして貯留・浸透施設の設置による雨水流出抑制等を進めており、ソフト面では土地利用方策・浸水予想区域図などを知らせる広報、PR活動を行っているとの説明がありました。

 神田川再生構想は、概ね50年を目標期間に定め、「首都東京の顔にふさわしい、人・生きものが集い、親しめる、地域に活きた川に再生し、東京に魅力と活力を与える」という基本理念のもと、「治水」「河畔と見え方」「水量・水質」「生物生息環境」の4つのテーマで構成されています。

 この構想は、これまでの治水の他に環境面(川沿いの歩行者空間や親水拠点、緑の保全・回復を進める)をどう捉えていくかというのが新たに加わった主旨となっております。

 「河畔」と「見え方」という捉え方で、「建物用途等の状況」「歩行条件」「隣接公園の分布」「見え方」「緑化」「沿川建物等との関係」等の観点から下図に示すように8つのブロックに分けています。

各ブロックのコンセプト

神田川下流ブロック ~賑わいのある水辺~

  • 業務施設が集中する市街地にある貴重な自然空間で、働く人が安らぎ、うるおいを得る空間
  • 水際の水と光の演出などがあり、商業イベントが開催される、沿川の商業施設が活性化する水辺。
  • 現代に復活した舟運により、賑わいのあるまちなみや江戸城の石垣、日本橋や常磐橋等の歴史的資源に触れ、働く人や訪れる人が現代の東京の活気と江戸の歴史を感じることができる水辺。

神田川中下流ブロック ~桜が彩る渓谷~

  • 古くからの名所の桜並木、緑の壁面のある渓谷を、地域の人々や来訪者が散策し、花と緑の水辺を楽しめる渓谷。
  • 周辺の文化施設と沿川の公園を結ぶ、地域の人々や来訪者が行き交う、安らげる渓谷。

神田川上中流ブロック ~活気あふれる身近な河畔~

  • 界隈性の高い駅周辺で、水辺に近づけ、地域の催事が開催できる、地域を活性化する河畔。
  • 桜並木や四季を感じる花木のあふれる遊歩道を地域の人々や来訪者が行き交い、憩う河畔。

神田川上流ブロック ~豊かな心を育む緑の水辺~

  • 生物生息空間があり、地域の小中学生などが環境学習を行える水辺。
  • 自然豊かな川と、緑に彩られた川沿いの住宅が一体となった美しさを醸し出す水辺。

妙正寺川中流ブロック ~緑豊かな公園を結ぶ水辺~

  • 公園が川に隣接し、公園を結ぶ緑豊かな散策路を地域の人々や公園来訪者が行き交い、憩える水辺。
  • 公園内に川と一体となった親水空間があり、人々と川との触れ合いを高めることができる水辺。

妙正寺川上流ブロック ~安全で快適な水辺~

  • 歩車共存のコミュニティ道路を、地域の人々が安全で快適に歩ける水辺。
  • 自然豊かな川と、庭等の緑多い川沿いの住宅地が、一体となった美しさを醸しだす水辺。

善福寺川緑地・和田堀公園ブロック ~風薫る水と緑の回廊~

  • 川と公園が一体となった大規模な自然環境など、都市の中にあって豊かな水と緑に包まれる回廊。
  • 川に降り、水に触れて遊べる水辺のある回廊。

善福寺川上流ブロック ~快適で存在感ある川の流れ~

  • 住宅地が隣接する沿川で、地域の人々が川沿いを快適に歩くことができる川。
  • 瀬・淵や段差など変化ある川の流れと豊かな自然がある、地域の人々が愛着を感じる川。

 これまでの河川法に、「環境」と「計画立案に関して地域の意見を反映」を加えた平成9年の法改正に伴って、「神田川再生構想」を基に、平成17年度に「河川整備計画」を策定する予定です。「河川整備計画」では、20年から30年を目標期間とした河川整備の具体的内容を記載するのが目的です。  原案を河川部で作成し、学識経験者の意見及び流域の皆様からの意見を反映して作成を行います。  地域の方々からの意見の取り入れ方としては、それぞれの河川の懇談会、流域連絡会の中で、或いはインターネット等で、適宜ご案内申し上げて、ご意見を頂戴したいと考えております。

 また、空間の環境について、緑化や歩行者空間の確保など河川だけではなかなか実現できない事を、「神田川河畔まちづくりガイドライン(仮称)」を作成して、まちづくりサイドへお願いをしていきたいと考えております。これは、「あるべき姿」の方向性に基づいてまちづくりへの配慮事項を決めるものです。それをもとに、一定規模の開発がある際には河川側に空地を生み出して頂き、河川側を緑化してもらう、オープンカフェテラスなどの空間(拠点)を確保してもらうなどのご提案をしていきたいと考えております。
 そして、河川側の建物の高さを低くして頂くなど、川に向いたまちづくりを提案して参りたいと考えております。

 しかし、これは法的な規制ではなく、お願いをするという形です。ですから、川に向いてもらえるよう河川管理者として川を魅力ある川となるよう努力していかなければなりません。また、容積率を緩和させたり、控除できるかなど関係部署と調整して取りまとめていく予定です。

 最後に神田川再生構想に関して平成15年7月5日から31日までの都民の方々から募集したご意見の取りまとめたものについて説明がありました。

神田川再生構想(案)の説明を受けて、都民委員から次のようなご質問・ご意見がありました。

現在後楽園地区で行われている再開発がありますが、神田川は関わっているのですか。

 神田川に関係した開発はしていません。地区の再開発という形で地権者の方々が20年前から組合をつくって活動し、後楽二丁目西地区については周辺環境に配慮した計画で進めております。
 また、現在進行中なのですが、大手町・丸の内有楽町地区の再開発では、川沿いにあった都市計画道路が歩行者専用道路に変更される方向で進んでいます。このほかに九段南の千代田区の合同庁舎でも、ご理解を頂いて少しでも人を通せるようにという事例があります。

お茶の水駅の下の緑地は入れませんが、公共用地ですし、なんとか下りられるようにならないでしょうか。

 管理用通路が取れないので、川側に張り出そうという案がありましたが、川幅が限界で動かす事ができません。また、一般の人が川へ下りれるようにすると、20メートル程ある崖ですので、管理が非常に難しくなるため、現在のところ、開放する話はありません。

今は消えてしまった川が、かつてそこにあった事を知るのも大事なのではないか。

 神田川の再生はあくまで法定河川の中という事で、昔河川だった桃園川や井草川というのも対象の一つとしています。ただ、目黒川や渋谷川の上流など昭和30年から40年頃に下水道化されて、その下水道化をもとの川に戻す作業というのは非常に難しいものがあります。
※座長の説明
 昭和36年に36(さぶろく)答申といっていますが、下水道の普及を主眼に置いて東京を整備しようという流れで、一番簡単に、またお金をかけずに川を無視した方法が取られ、下水道化をして普及に努めた経緯があります。

今後開発された土地によって流出係数が増加した場合も河川改修を行って対応するのですか。

 「特定都市河川浸水被害対策法」という新しい法律ができまして、畑があったところに家を建てる事によって流出係数が増え、余分な水が川に出る。その際には、建てた事によって出る水は自分で溜めるような法律になっております。
 但し、神田川のようにほぼ100パーセント開発されていて、そういう場所には適応できるのかどうかという面もあります。
 現在は、1,000平方メートル以上の開発を行う際には、1ヘクタール当り600トン溜めるようにお願いをしております。
※行政委員の説明
 川沿いに住んでいる住民の方々は、そこが危ないというのは分かっていて、家の玄関を高くして浸水対策をしています。しかし、新しく越されてきた方々は、そのような対策をせずに地下駐車場を造る住宅もあります。杉並区での集中豪雨では、30分雨が降って、30分後には増水して、すぐに引いてしまうような水害ですので、家の建て方によっても防げる部分はあるのではないかと思います。そういう意識だけでも都市再生ですぐにできる一つではないかと思いますので、神田川のあり方を考える上で、意識で変えられる部分も提案して頂ければと思います。

次回は、「今後の会の進め方について」の都民委員の意見を受けて、来年度5月頃に開催する予定です。

 また、今後も各委員のご意見、ご要望を伺いながら進めていきます。

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