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イキモノのイキな話78

オジロワシ

19年ぶりのオジロワシ(尾白鷲)の繁殖

多摩動物公園 野生生物保全センター 小島善則

 今年4月、多摩動物公園でオジロワシが19年ぶりに繁殖し、2羽のヒナが誕生しました。

 オジロワシは翼を広げると2mに達する大型の鷲で、冬に日本に渡ってきますが、一部少数が北海道で繁殖し、国の天然記念物に指定されています。当園では、1976年に国内で初めてオジロワシの繁殖に成功し、その後、初代ペアから生まれた子が次世代ペアとなり、多くの子孫を残してきました。

 今回繁殖したのは、「明神(みょうじん)」(オス、2013年生)と、2002年に北海道で保護された、飛翔できない「北見( きたみ)」(メス)のペアです。明神の母親は、多摩の2世ペアから生まれた「天神(てんじん)」(1987年生)で、姫路市立動物園で繁殖して明神が生まれ、その明神が多摩に帰って新たなペアとなったのです。ですから今年生まれたこどもは初代ペアから続く5世になります。

 明神×北見ペアにとって初めての子育てで、生まれたヒナをペアが顔をそろえて覗き込む姿が印象的でした。最初はなかなか巣にエサを運ばなかったり、ヒナにうまくエサを与えられなかったり、はらはらしましたが、ヒナは順調に育ち、6月に2羽とも無事巣立ちを迎えました。飛翔できないメスが子育てをやりとげたこと、そして多摩のオジロワシの累代繁殖をつなぐことができたことは、二重の喜びとなりました。

 動物園には、希少種の域外保全(野生のバックアップ)という役割がありますが、それも、こうして累代繁殖によって世代交代しながら命をつないでいくことではじめて可能になるのです。



〜動物園の"かお"〜

多摩動物公園
アジアゾウ

アジアゾウ「ヴィドゥラ」

3頭のアジアゾウがくらす「アジアゾウのすむ谷」に、ぜひお越しください。

写真:アジアゾウ「ヴィドゥラ」