東京のまちづくり ナンバー129
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イキモノのイキな話78

左:ハダカデバネズミ 右:寝室


ハダカデバネズミ 〜裸で出っ歯のネズミです〜

恩賜上野動物園 西園飼育展示係 堀 秀正

 「ハダカデバ」(裸で出っ歯)とは、何とも露骨なネーミングですが、その外観上の特徴をよく表しています。体表が無毛で上下の門歯が唇を突き破って飛び出しているからです。筆者がその姿を初めて見たときには気持ち悪いと感じたのですが、意外にも上野動物園では隠れた人気者です。

 この奇妙な外観の他にも、ネズミとしては桁外れに長命(約30年)なことや、老化の兆候があまり見られず、高齢になるほど発生しやすいガンになりにくいなどの特異的な性質を備えています。このことから近年は老化予防やがん予防などの観点で医学生理学関係の研究者に注目されています。

 本種はアフリカ大陸東部のサバンナで、平均75〜80頭の群れ(コロニー)をつくり、アリのように地中にトンネルを掘って生活しています。その社会構造もアリと同様の真社会性です。群れの中で1つのペアのみが繁殖を行い、他の個体は全て繁殖しません。繁殖しない個体(オスもメスもいます)のうち、小さい個体は穴掘りや食料調達、その他雑用の役割を担い、大きい個体は天敵であるヘビから巣を守る役割を担います。

 上野動物園で飼育展示している群れでは、よく寝室内で幾重にも重なっている様子が見られます(写真)。ハダカデバネズミは哺乳類でありながら体温調節ができない変温動物なので、温度が低いときには、このようにして暖をとるのです。寒い時期にこそ、この暖かそうな光景を見に来てみてはいかがでしょうか。



〜動物園の"かお"〜

多摩動物公園
二ホンコウノトリ

二ホンコウノトリ

コウノトリは鳴き声ではなく、上下の嘴(くちばし)をカスタネットのようにたたき合わせて音を出す「クラッタリング」という行動で求愛します。
この音は園内に鳴り響きますので、ご来園の際には是非注目してください。