東京のまちづくり ナンバー129
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イキモノのイキな話78

フェネック


カワイイだけではないフェネック

井の頭自然文化園 飼育展示係 大平まどか

 大きな耳やふわふわの尾が魅力的なフェネック。寒い時期は、数頭が集まって「フェネックだんご」になって休む姿が見られ、来園者からは「かわいいね」という声がよく聞かれます。他にも、「チワワみたい」「飼いたい、飼えそうだな」という声もよく耳にします。確かに、フェネックはイヌ科の動物で、おとなになっても体重が1s前後のため、チワワなどのイヌと同じように飼えそうと思ってしまいます。しかし、フェネックは野生動物であり、ペットには向かない動物です。

 フェネックは北アフリカやアラビア半島の砂漠にくらし、気温の高い日中は巣穴で休んだり、地中に潜むネズミや虫などを捕まえたりするため、穴掘りが得意です。井の頭自然文化園では、野生での環境に近づけるため放飼場に砂を敷きつめています。朝、放飼場を見ると、「一晩でこんなに!?」と驚くほど穴が掘られていることがあります。夜行性のため、来園者や私たち職員が帰った後、活発に行動しているのです。フェネックが夜間、自由に穴掘りができるような環境を自宅に整えるのは、相当大変です。

 昨夏、井の頭自然文化園は公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の「ペットにしても幸せにできない動物」キャンペーンに賛同し、動画作成に協力しました。フェネックがペットに向かないその他の理由や、野生動物のペット化が招くリスクについても紹介していますので、ぜひ動画を見て知っていただけると嬉しいです。そして私たち飼育係は、みなさんが動物を見て感じた「かわいい」という気持ちを大切に、野生動物の保全にも意識を向けていただけるよう、これからも動物が持つ本来の生態を観察できる展示づくりをめざしていきたいと思います。



〜動物園の"かお"〜

多摩動物公園
サーバル

サーバルの子ども(撮影日:2022年12月14日)

令和4(2022)年10月に多摩動物公園で生まれたサーバルの子どもです。ぜひ会いに来てください。

写真:サーバルの子ども
(撮影日:2022年12月14日)