アオウミガメ 成長にはエサやりの工夫が肝心!
葛西臨海水族園 飼育展示係 加藤 舞
令和4年2月から、「小笠原の海4」水槽でアオウミガメの子どもを2頭飼育しています。このアオウミガメは令和3年7月に小笠原諸島母島で孵化し、約1か月現地で飼育された後に水族園にやってきた個体です。このときの甲羅の長さは約6p、体重は約40gでした。
子ガメを飼育するうえで気を付けなくてはいけないことはエサの与え方です。エサが大きすぎてのどに詰まらせてしまうことや、水深のある水槽では上手に潜水できず、水槽の底に落ちたエサを食べられないことがあるためです。
このような練習のために一時期、「小笠原の海4」水槽の上部に設置されている水深を調節できる水槽で展示していました。ここでは、子ガメの口の大きさに合わせてコメ粒ほどの大きさにそろえたエサを準備し、口の近くに差し出して、くわえて飲み込むまでを注意深く観察しました。エサを飲み込んだことを見届けて、ようやく「よし、ちゃんと食べた!」と安心することができました。次に、潜水して底に落ちているエサを食べる練習をしました。水深5pから潜水の練習を始め、徐々に水深を深くしていきました。
いまでは水深30pでもエサを食べることができ、「小笠原の海4」水槽でも問題なく泳げる大きさに成長したので、このたび展示水槽を移動することになりました。孵化後約9か月経ち、現在の子ガメの大きさは、水族園にやってきた当時に比べて甲羅の長さは3倍、体重はなんと30倍になりました。水槽内の岩の上にいることが多い2頭ですが、堂々と泳ぐ日も遠くないでしょう。