パズルフィーダー
上野動物園子供動物園係 仲村賢
パズルフィーダーって何だろう? と思う方もいらっしゃるかもしれません。パズルフィーダーとは、あえて動物たちにエサを取りにくくするための仕掛けです。かわいそう……と思われるかもしれませんが、本来、動物たちはエサを探して食べることに多くの時間を費やします。一方、動物園では簡単にエサが手に入ることから、短時間で食べ終わって暇を持て余してしまいます。そのためパズルフィーダーは、より時間をかけてエサを食べてもらうことで、動物福祉を向上させる手段のひとつなのです。
先日、子供動物園のウマたちにも自作したパズルフィーダーを導入しました。写真のフィーダーは丸太でできているように見えませんか? 実はこれ、塩ビ管なのです。木製は人工物感がなく見た目はいいのですが、ウマがかじってすぐに壊してしまいます。そこで塩ビ管を傷つけ、表面を焼いて擬木のようにしました。また、塩ビ管をかけてある棒は可動で、ウマがつつくと回転します。つまり、塩ビ管内の草を追いかけるかたちで食べるのです。この試みはうまくハマり、エサを食べる時間が延長したことで、ウマたちの動物福祉向上に資する効果を得られたと考えています。
現在はアイデアを広げ、他の担当動物にもパズルフィーダーを作成しようと計画中です。