キリンのヒカリの誕生と成長
恩賜上野動物園 西園飼育展示係 三松豊
2020年2月2日、上野動物園では37年ぶりとなるキリンの赤ちゃん、ヒカリ(メス)が誕生しました。
出産後、母親のリンゴは積極的にヒカリの世話をしようとしませんでした。数日間は様子を見守りましたが変化は見られず、ヒカリの右股関節に異常も見つかったため、人工哺育によって育てていくことにしました。哺乳瓶でミルクを飲むことに慣れていないヒカリは、哺乳瓶を差し出しても自発的に吸い付きません。数人がかりでヒカリの体を支えながらミルクを飲ませる努力を続けたところ、生後4日目に初めて自発的に哺乳瓶に吸い付きました。一度飲み方を覚えてからはスムーズにできるようになり、その後は比較的順調に成長しました。生後1ヵ月には元気に走り回るようになり、枝葉や乾草も少しずつ食べるようになりました。生後3ヵ月から離乳に向けた取組を開始し、一日に与えるミルクの量を徐々に減らして枝葉や乾草の給餌量を増やしたところ、生後約6ヵ月半で離乳しました。
現在、体は大きくなりましたが、おとなのキリンと比べると角の形や枝葉の食べ方などまだまだ未熟な点が見られます。今後の成長とともにそれらがどのように変化するか、おとなとの違いを見比べつつ観察してみてください。