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イキモノのイキな話78

左:6月に死亡したケンタ 右:ボンボン

ルリカケスは、どんぐりを貯める?

恩賜上野動物園 東園飼育展示係 宇野なつみ

 上野動物園の東園・日本の鳥Tでは、日本の固有種で奄美群島(奄美大島や加計呂麻島など)にのみ生息する、ルリカケスを展示しています。この鳥は国の天然記念物にも指定されている希少種です。

 ルリカケスは生息地が限られており、病気や自然災害などの影響で生息数を急激に減らすことが考えられるため、上野動物園では平成21年(2009年)から野生に影響を及ぼさない範囲内でヒナを動物園に連れてきて育て、万が一のときに絶滅を防ぐための群れを保持しています。この群れは、血縁などを考慮して計画的に飼育下繁殖するよう力を入れています。あわせて、ルリカケスを展示することにより、来園者にその魅力や保全の重要性などを伝えています。

 ルリカケスには、秋から冬にかけて見られる季節限定の習性があります。野生では昆虫や植物の果実などを食べる雑食性の鳥ですが、秋になると、どんぐりを好んで採食します。そして、エサの少ない冬に備えてどんぐりを土の中に埋め、後で土を掘り返して食べる「貯食」という行動をとります。時々、埋めたどんぐりを食べ忘れ、そこから芽が出てくることもあり、ルリカケスは奄美群島の森を育てる役割もしています。

 飼育しているルリカケスが野生に近い行動をとるように、秋頃からどんぐりを多く与えており、鳥が嘴を器用に使ってどんぐりを地面に埋める姿を見ることができます。冬になると、秋に埋めたどんぐりを掘り返す姿も見られます。

 上野動物園にお越しの際は、ルリカケスの行動を観察してみてください。貯食中のルリカケスに出会えるかもしれません。