平成8年9月22日(台風17号)の概要
 

[ 気 象 概 要 ]

 台風17号は号9月22日6時現在で、中心気圧960hpa、暴風域(25m/s以上半径)190km、最大風速35m/sの大型で強い台風である。
23日午前3時時点の速報天気図概要をまとめると以下のようである。
同天気図の気象情報によると、22日10時25分、23区に大雨・洪水・波浪警報、
多摩東部に大雨・洪水・暴風警報、多摩西部に暴風警報が発表され、13時15分には多摩西部暴風・大雨・洪水警報に切り替えられた。18時15分、多摩西部大雨・洪水警報が解除され、23区強風・波浪・洪水注意報、多摩東部強風・洪水注意報、多摩西部強風注意報に切り替えられた。これらの注意報は20時30分に解除され、台風経路図にみるとおり、台風17号は23日21時に弱い熱帯低気圧に変わった。

[ 降 雨 概 要 ]

 大型で強い台風17号は、22日昼から関東地方を暴風域に巻き込み、激しい雨と風をもたらした。
 主な観測地点の雨量は、新小岩で総雨量266mm、60分最大雨量38mm(22日12時10分〜13時10分)、10分最大雨量9mm(22日12時10分〜20分)、図師で聡雨量214mm、60分最大雨量36mm(22日10時30分〜11時30分)、10分最大雨量7mm(22日10時40分〜50分)、東大和で総雨量189mm、60分最大雨量35mm(22日10時30分〜11時30分)、10分最大雨量7mm(22日11時10分〜20分)であった。

[ 出 水 概 要 ]
 空堀川の狭山高木(調整池)水位観測所、狭山橋観測所では、22日の午前11時40分から11時50分にかけて、丸山橋水位観測所では、22日の午後13時30分から13時40分にかけて最高水位が護岸天端高を超えた。

[ 被 害 概 要 ]

 日本列島の東海上を進んだ大型で強い台風17号は、22日東日本を中心に大きな被害をもたらした。台風の進路に最も近かった千葉県では、増水した川に転落するなどして2人が死亡、4人が行方不明となったほか、神奈川県では強風で倒れた木が車を直撃し1人が死亡するなど、各地で死傷事故や行方不明が相次いだ。
 床上・床下浸水や道路冠水等の被害も多発し、交通機関も運転中止や欠航が相次ぎ、首都圏の足は深夜まで乱れた。また、東海道新幹線がほぼ全線でストップし、JR東海では乗り継ぎ列車のなくなった乗客のため、東海道新幹線の車両を使って「列車内ホテル」を用意した。滑走路が全面閉鎖された羽田空港でも広い出発ロビーが人であふれた。
 首都圏の在来線も運休が続出し、中央線は夜までに95本が運休、総武線も千葉県−銚子で49本、三鷹−千葉で93本が運休し、両線で7万人の足が乱れた。内房線、外房線、京葉線などJR東日本管内の25線区で運転が中止され、私鉄でも小田急線などが一時運転を見合わせた。
 停電被害も多く、東京電力によると26市町の約2万地帯が停電した。
 東京全域で一般資産浸水面積5.51ha、被害家屋棟数79棟(そのうち、床下浸水が63棟、床上浸水が16棟)の被害があった。
 公共土木施設被害は、道路冠水、道路方面面の崩壊、街路樹の倒木、堤防破損などが原因で21ケ所に及んだ。