平成31年・令和元年 水害概要
 


平成31年・令和元年 水害概要


 2019年は、全国的に気温の高い状態が続き、低温は一時的だった。特に冬の沖縄・奄美、秋の東・西日本は、季節平均気温が1946年の統計開始以来、最も高かった。このため、年平均気温は全国的にかなり高く、東日本では平年差+1.1℃と1946年の統計開始以来、2018年と並び最も高くなった。また、夏から秋にかけては前線や台風、低気圧の影響で記録的な大雨となったところがあった。9月は、台風第15号の影響により千葉県を中心に記録的な暴風となり、10月は台風第19号の影響により、東日本から東北地方にかけて記録的な大雨となり広い範囲で河川の氾濫が相次ぐなど、大きな被害が発生した。全国のアメダスの日降水量400o以上の年間日数は47日で、1976年の統計開始以来2011年に次いで2番目に多くなった。

 冬(201812月〜20192月)の日本の天候は、北から寒気の影響が弱く、東日本以西では冬の平均気温がかなり高かった。特に、沖縄・奄美では冬の平均気温の平年差が+1.8℃となり、冬の平均気温として最も高くなった(統計開始は1946/47年冬)。日本海側の冬の降雪量はかなり少なく、特に、西日本日本海側の冬の降雪量は平年比7%となり、冬の降雪量として最も少なくなった(統計開始は1961/62年冬)。

 春(3月〜5月)の日本の天候は、北・東・西日本では、期間を通して高気圧に覆われる日が多く、春の日照時間はかなり多かった。北・東・西日本日本海側と北太平洋側では、1946年の統計開始以来、春の日照時間として最も多かった(西日本日本海側は1位タイ)。また、春の降水量は北日本日本海側でかなり少なかった。全国的に、晴れて強い日射の影響を受けたことや、暖かい空気が流れ込みやすかったため、春の平均気温は北・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、東日本で高かった。

 夏(6月〜8月)の日本の天候は、梅雨前線の北上が平年より遅かったため、梅雨明けは平年より遅れた地方が多く、7月は東・西日本を中心に気温が低く、日照時間が少ない不順な天候となった。7月末から8月前半にかけては、東日本を中心に太平洋高気圧に覆われて晴れて厳しい暑さが続いた。夏の平均気温は、北・東日本と沖縄・奄美で高かった。西日本では、前線や台風の影響により、たびたび大雨となり、特に、九州南部では7月に、九州北部地方では7月と8月に、それぞれ記録的な大雨となり、土砂災害や河川の氾濫など大きな被害が発生した。また、西日本太平洋側では夏の降水量がかなり多かった。沖縄・奄美では梅雨前線や台風、湿った空気の影響を受けやすかったため、夏の降水量はかなり多く、夏の日照時間はかなり少なかった。

 秋(9月〜11月)の日本の天候は全国的に暖かい高気圧に覆われやすかったため、気温が高かった。特に南から暖かい空気が流れやすかった。東・西日本の気温は、1946年の統計開始以来、秋の平均気温として最も高くなった。また、秋の日照時間は北・東・西日本で多かった。9月上旬は、台風第15号の影響で、東日本太平洋側を中心に大雨や記録的な暴風となり、千葉県などで大きな被害が発生した。10月中旬は、台風第19号の影響で、東日本から東北地方の広い範囲で記録的な大雨となり、河川の氾濫が相次ぐなど、大きな被害が発生した。10月下旬には、低気圧の影響で、関東甲信地方や東北地方で再び大雨となり、河川の氾濫や土砂崩れなど大きな被害が発生した。沖縄・奄美では、この秋に台風第13号、第17号、第18号、第20号、第27号が接近・通過し、大雨や大荒れとなった所があった。
 平成31年・令和元年の関東・東京の天候のうち、年降水量は気象庁東京管区気象台(千代田区大手町)では1,874.0 mmであり、平年値(1990(平成元年)から2019年(平成30年)までの30年間:1597.7mm)より約276.3mm多い降水量であった。
 関東甲信地方の梅雨入りは6月7日頃(平年6月8日頃)、梅雨明けは7月24日頃(平年7月21日頃)であり、この間の降水量は平年比134%と多かった。
 東京都における大雨・洪水等の注意報、警報の発表回数は、23区西部では11回の注意報、5回の警報(うち特別警報1回)、23区東部では9回の注意報、3回の警報(うち特別警報1回)、多摩南部では14回の注意報、4回の警報(うち特別警報1回)、多摩北部では15回の注意報、5回の警報(うち特別警報1回)、多摩西部では11回の注意報、4回の警報(うち特別警報1回)、伊豆北部では6回の注意報、7回の警報、伊豆南部では14回の注意報、6回の警報、小笠原諸島では10回の注意報、5回の警報であった。東京都建設局では警報の発表と同時に「水防本部」が設置され、警戒配備体制が敷かれることになっているが、その設置回数は7回であった。
 水害被害(一般資産被害)は、8月19日(集中豪雨)、9月8日〜9日(台風15号)、10月12日〜13日(台風19号)の3回発生した。 浸水面積が最も大きな災害は10月12日(台風19号)の水害で、浸水家屋は1,323棟であった。

一部「報道発表資料」(気象庁、国土交通省)より抜粋 

 


平成31年・令和元年 水害一覧

 

月日

原因

一般資産被害

公共土木
施設被害

公益事業
等被害

浸水面積
(ha)

浸水棟数()

合計
(
)

床下

床上

半壊

全壊

8月19

集中豪雨

0.02

0

0

0

0

0

0

 0

9月 8日〜9日

台風15号

0.13

3

18

0

0

21

1 2

10月12日〜13日

台風19号

84.51

583

404

307

29

1323

393 54

合計

 

84.66

586

422

307

29

1344

394

56 

 

   ※床上棟数は地下を含む。       
   ※8月19日は土石流が発生したが、建物の被害は発生しなかった。