第六回議事録

開催日時  平成15年2月24日(水)14:00~16:45
開催場所  墨田区役所 会議室

第6回 会議風景

議事

平成15年2月24日(月)、午後2時00分から、墨田区の会議室において、第六回の隅田川流域連絡会が開催されました。都民委員12名、行政委員15名が出席し、都市河川における浄化対策の事例、汐入入江の整備計画及び白鬚橋上流右岸テラスの整備計画を議題に、都民委員と行政委員による意見交換が行われました。


■臨時委員の河川環境管理財団技術参与の佐藤氏より「都市河川における浄化対策の事例」が報告されました。 河川浄化施設は、諸外国ではあまり見られず、日本で1980年代から始まり、1996年には263ヶ所建設されています。その内訳は国が19ヶ所、都道府県が78ヶ所、市町村が166ヶ所となっています。 浄化方法には、堰浄化、植生浄化、土壌浄化など様々ありますが、礫の間に水を流し礫に付着した微生物で浄化する礫間接触酸化が一般的な方法となっています。 二子玉川の野川には毎秒1トンの水をBODで13ppmから3ppmに浄化できる礫間浄化施設が、多摩川の高水敷の公園の下にあります。 松戸付近の江戸川では、高水敷に1kmの礫間浄化施設を建設し、江戸川に流入する坂川の水を浄化して、東京の金町浄水場の下流側に落とすようにしています。この施設は、毎秒2.5トンの水をBODで20ppmから5ppmに浄化できる能力があります。 霞が浦の流入支川対策として、生活排水の多い清明川の河口に38000m2の植生浄化施設を建設しています。この施設で、礫間浄化施設では除去できない窒素やリンが除去されています。 しかし、最近では下水道の普及に伴い河川の水質も改善されBODやCODに代表される水質汚染の値も低くなり、河川浄化施設の建設も減少しています。今後は、窒素やリンの除去が河川浄化の主目的になると考えられていますが、植生浄化法では窒素やリンの安定的な除去について課題が残されており、今後の技術的改良が期待されています。 下水道整備の進行に伴い、下水処理水の河川水に占める比率が高くなる一方、河川水に対する社会的要求も高まってきています。鶴見川では、平成13年度から公募による新たな民間の浄化技術の実験を行い、技術的検討を進めています(表1参照)。主なものとしては、沈殿、接触酸化、ろ過、紫外線殺菌、脱臭などの技術を複合的に組み合わせた4施設が実験を行っています(図1参照)。 隅田川の水質浄化にぴたっと組み合わさるものではないかもしれませんが、今後、隅田川の水質浄化を考える上で参考になればと思っています 。

表1 鶴見川水質浄化実験
『「河川環境」の明日を支える』(財団法人河川環境管理財団)より
図1 環境保全型ハイブリッド水質浄化システム
『「河川環境」の明日を支える』(財団法人河川環境管理財団)より

※BOD ― 水の汚染を表す指標の一つ。好気性微生物が一定時間中に水中の有機物(汚物)を酸化・分解する際に消費する溶存酸素の量。ppmで示す。(生物化学的酸素要求量)

■藤井事務局長から汐入入江の整備計画について説明がありました。汐入入江は、白鬚西再開発地区の瑞光橋のところに位置しており、再開発事業の中で公園として整備することになっています。地元の方々の要望をふまえ、入江を残し水辺を生かした公園として整備する予定です。整備案については素案の段階で、地元の住民との協議会の中で決めていくことになっています。 公園整備の基本方針は、第一に、入江を生かした親水空間を創出していこう。第二に周辺には多くの方々が住んでおられるので、人々が集い、賑わいの場 を形成していこう。第三に、隅田川で唯一自然が残されている汐入の、地域性を表現していこうというものです。 整備の方法は、北側の防潮堤を撤去し、緩傾斜型堤防を整備します。南側は防潮堤を残しますが、修景をほどこします。水際にはテラスを配置し隅田川と連続した歩行者動線が確保されます。水門は残し水門の前面は湿地状に整備することになっています。

図2 汐入入江整備計画

■事務局の白土から、白鬚橋上流右岸テラス工事の整備計画について説明がありました。 前回の流域連絡会でご見学頂いた白鬚橋上流から瑞光橋までの約500mのうち、下流側200m、上流側45mの水を引き込んだワンドがあります(図3参照)。引き潮になっても水面がなくならない程度の深さにしています。航行する船舶の影響を受け、土が堆積せずに動植物の生育に適さない状況になっています。整備方法は、水の出入り口に、消波ブロックを置きます。中央の島を中心に満潮になっても水没しない陸地をつくり、なだらかなこう配をもった干潟部を設けます。干潟部は、あしが生えるまで土が流出しないようにヤシの繊維で編んだ植生マットを張ります。面積が狭く水質浄化としては、大きな効果は望めませんが、魚巣ブロック、浮島状の植生基盤などを配置し、生物層の豊富なエリアにしていきたいと考えています。他にも隅田川に適した方法があれば、取り入れていきたいと考えております。

図3 白鬚橋上流ワンド(全長200m)の整備計画
図4 C-C断面(階段状)
図5 D-D断面(緩傾斜状)

質疑応答

(都民委員)お話しいただいた都市河川の浄化対策は、隅田川でどのように応用できるのですか。

(行政委員) 鶴見川河川浄化施設の技術開発の検討の中で、下水処理水が流入する河川では、河川で浄化するよりも下水処理のグレードアップによるところが大きいという意見が出されました。大都市東京では、下水処理の高度化が重要と思います。また、隅田川は感潮河川であり、川だけでなく海の水質改善も行わなくてはならないと考えます。

(都民委員)人が通らないようなテラスは、テラスの高さを低くして満潮の時には通れないようなテラスがあってもいいのではないか。テラスの上に水がくるのも風情があっていい。また、ホームレスも住めなくなり問題の解決になる。

(行政委員)どんな時でも、濡れないで歩けるようにしてほしいという意見が出てくると思います。また、隅田川は周辺の人だけでなくいろいろな人が利用することを考えると、いつでも歩けるある程度の高さが必要と考えています。また、災害時には、防災上の通路としても利用できます。ホームレスの問題は、就労、住宅、医療、福祉などの問題を解決しないとなくならない根が深い問題です。東京都は全庁的に、また、区やその他の団体と協力し合いながら対策に当たっています。

この他に、次のような意見がありました。

  • 国土交通省の江戸川工事事務所で綾瀬川の大曽根地区に大きなワンドをつくっている。隅田川に応用できるのではないかと思っているので、その話を聞きたかった。
  • テラスをつくるに当たっては地域住民が使ってもらえることを意図してつくってほしい。また、管理するうえで、地域住民、区、都を組み合わせていかないとうまくいかないと思う。
  • 江戸開府400年なので、台東区の環境推進ネットでは勝鬨橋をあける運動をしている。協力いただきたい。

次回は、第7回目となりますが、発足して丸2年となり、現在の委員の皆様による最後の開催となります。

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