第五回議事録

開催日時  平成14年11月27日(水)13:00~16:45
開催場所  隅田川 白鬚西地区事務所

第5回会議風景

議事

 都民委員14名、行政委員11名が出席し、第五回の隅田川流域連絡会が開催されました。「浅草水上バス乗り場前」に午後一時に集合、東武線上下流右岸テラス、桜橋上流左岸テラス、白鬚西地区緩傾斜型堤防部及び町屋六丁目地区スーパー堤防の4現場を陸上から見学しました。その後、白鬚西再開発地区事務所へ移動し、都民委員と行政委員による意見交換が行われました。


■第一番目の見学場所の「東武線上下流右岸テラス」に徒歩で向かいました。江東治水事務所高潮工事課の白土係長より整備年度、整備方針、植栽状況等の説明がありました。この場所の植栽帯は、竣工から7年経過しているがヨシ等の植物の生育状況は安定していることや、植栽した植物以外の在来種であるウラギクやチガヤも混在し、カニなどの生物も生息していることが報告されました。

(東武線上下流右岸テラス見学風景)

■つぎに、各委員は2台の中型バスに分乗し、第二番目の見学場所である「桜橋上流左岸テラス」へ向かいました。このテラスの特徴は、魚道を配置した「魚池ゾーン」、植栽を配置した「草地ゾーン」魚道と植栽の中間である「浅池ゾーン」及び「湿地ゾーン」の4パターンに分けて整備されました。特に魚道内には、河川水位が低下しても水が溜まるようにしたり、表面を石積みにするなどの工夫が凝らされ、今では、魚のみならずカニも生息しています。時折、子供達が釣りをしている風景が見られることも報告されました。

(桜橋上流左岸テラス見学風景)

■三番目の見学場所は「白鬚西地区緩傾斜型堤防部」へ向かいました。この地区の整備方針は、生き物が安心して生息できる場である聖域(サンクチュアリー型)を目指すこととしています。平成12年度に入り江部、平成13年度に堤防部の整備を行いました。しかしながら、入り江部においては、かごマットを設置して水性植物の植栽を行ったものの、船舶通過に伴う波による土砂の流出が予想以上に大きく、植物が未だ根付かない状態となっています。今後、各委員の皆様から貴重なご意見を頂きながら、植物が根付くよう注意を払い、平成15年度に再度手を加える予定であることが報告されました。

(白鬚西地区緩傾斜型堤防部見学風景)

■最後に、第四番目の見学場所である「町屋六丁目地区スーパー堤防」へ向かいました。この場所は、前回の第四回流域連絡会において整備イメージが紹介された地区であります。ここの特徴は、干潟部の修景において現地にある土や泥、水性植物を使用し、生き物に配慮した空間を作りました。この11月に工事が終了したばかりで、現在、あまり植物の生育状況が良くありません。来春以降、植物が青々と生い茂ることを期待しますという報告がありました。また、委員から実験的施設とはいえ、あまりに狭すぎるとの意見も聞かれました。

(町屋六丁目地区スーパー堤防見学風景)

■4現場見学終了後、各委員は再びバスに乗り込み、意見交換が行われる白鬚西地区事務所へ向かいました。
 会議冒頭に、座長と副座長から挨拶があった後、事務局より平成14年7月及び8月の人事異動に伴い新委員となった2名の紹介がありました。
 新委員は、(1)浦山委員(東京都第六建設事務所副所長兼工事課長)、(2)裸野委員(荒川区土木部管理計画課長)です。

■環境局環境評価部広域監視課太田黒補佐(当日都合により欠席のため事務局から要点を説明)より平成14年8月の隅田川水系における「へい死魚回収」についての報告がありました。八月全体で3000匹程度、特に、8日が1300匹、8日が1100匹の大量の魚が回収されています。原因は、大雨により大量のヘドロが巻き上げられ窒息死したことが考えられています。また、下水道の余水吐きから処理されないままの水が大量に河川に流れ込んだことも原因の一つであることが報告されました。

■前報告とは対照的な内容でありますが事務局より、台東区主催のハゼ釣り大会が11月17日に開催され、午前9時から正午までの3時間でマハゼが1700匹強釣れ、過去最高であったことの報告がありました。浄化対策の努力が実った旨の記事が産経新聞、朝日新聞、東京中日スポーツ等で取り上げられたことが報告されました。

質疑応答

(都民委員)白鬚西地区汐入水門付近の入り江の整備は、今後どのように進むのか。

(行政委員)入り江の北側部分がなだらかな緩傾斜型堤防となり、南側は既設護岸が残る形で整備されます。今年度陸側、来年度川側の地盤改良工事を行い、平成16年度、17年度の2カ年をかけて最終的に完成する予定です。整備主体は、東京都再開発事務所で行い、最終的には荒川区に引き継がれる予定となっています。詳細については、次回に絵姿等を含めた報告を行います。

(都民委員)白鬚橋より下流の墨田区側に約700mほど手着かずの状態の部分があります。外国の方々にも胸を張れるような、生態系に配慮した川辺を整備できないか。

(行政委員)その場所にはまだ、約640m未整備区間があります。今日見て頂いた、「桜橋上流左岸テラス」は280mあります。それから上流300mは、基盤部分から施工し、干潟形式で整備していく予定です。その上流の約340mは基盤が完了していますが、今日、町屋六丁目地区で見学して頂いた、アシを植栽するタイプでの施工は可能です。全般的には、生物が生息可能な空間にしていきたいと考えています。

この他に、次のような意見がありました。

  • 川の中だけ自然回復をやるのではなく、堤内地の街づくりにおいても、川と一体化した街づくりを行ってもらいたい。そのために、河川事業も、道路、公園、再開発等の部署と一体となって事業を進めてもらいたい。
  • 白鬚西地区のサンクチュアリー型整備区間には、人が入れないようにするとの説明がありました。実際に完成し、良くなればなるほど人が来たがるので、逆に、人が来るような施設にしてもよいのではないか。
  • テラス内に生物が生息可能な池を設置すると、どうしても池の角が汚くなってなってしまう。流れを作って自然に浄化するとか、メンテナンスフリーとするためにどのような手法があるか、地元の市民グループと一緒に考え、少ない予算の中でも、少しでも綺麗にしてもらいたい。

次回は、「都市河川における浄化対策の事例」他をテーマに、平成15年2月末頃に開催する予定です。

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