※こちらは、令和7年7月25日(金)から7月27日(日)に開催したオープンハウスで公表した資料です。 1ページ 日比谷公園 大音楽堂(ヤオン)の再整備について 「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」に基づき、今回のオープンハウスでは、大音楽堂(ヤオン)の再整備に関する内容をお示しします。 現在の大音楽堂は、改築から40年以上が経過し、老朽化が進んでいるとともに、控室やバックヤード等が不足しバリアフリー対応も十分でないことから、改築工事を行います。 また、大音楽堂の周辺についても、バリアフリー化を進める等一体的に再整備します。 歴史 ・日比谷公園大音楽堂は、通称『野外音楽堂』、『ヤオン』と呼ばれ、数々のアーティストのライブ、コンサートに使用されてきた野外ステージとして、多くの人に親しまれてきました。 ・日比谷公園大音楽堂は、大正12年(1923年)7月に開設されました。東京市がこの音楽堂の建設を計画するにあたっては、音楽会・演劇界を代表する方々と綿密に実を練り、和洋音楽はもちろん、舞踏・野外劇民衆娯楽・社会教育的各種催しができる野外劇場式の音楽堂とすることに決まりました。 ・これまで、昭和29年(1954年)と昭和58年(1983年)の2度の改築を経て現在に至っています。 初代の大音楽堂の写真 明るい色の内壁を持つ箱型のステージが中央にあり、正面は観客席に向かって大きく開いている。中央に大きなアーチ状の入口、両脇に小さな扉がある。周囲は木々に囲まれている。 ・我が国初の本格的な野外音楽堂だと言われています。ステージ53坪、聴衆席、立席を加えれば6000人収容可能な音楽堂でした。 ・完成から2か月後に起きた関東大震災により、小音楽堂は倒壊しましたが大音楽堂は破損せず、復興のための野外集会場として利用されるなど、大評判となりました。 ・初代音楽堂は、主に吹奏楽やクラシックコンサートなどが盛んに開催されました。音楽会以外にも、舞踏会、野外劇、拳闘(ボクシング)試合など多様な行事に利用されました。 二代目の大音楽堂の写真 正面が観客席に向かって初代よりも大きく開いた開放的な形で、全体的に直線的でシンプルな構造。 ・初代音楽堂は、太平洋戦争中の昭和18年(1943年)より一時休館し、戦後はGHQにより接収されましたが、接収中に出火しステージが全焼しました。接収解除後の昭和29年(1954年)に改築の上、二代目大音楽堂として再開しました。 ・二代目音楽堂は、フォークソングやロックコンサート等の舞台として数々の伝説を生み、「音楽の聖地」「ロックの聖地」「フォークの殿堂」などと呼ばれ、若者に支持されるライブ会場となりました。 三代目の大音楽堂の写真 ステージは奥に向かって狭まり、観客席側に向かって広がる台形の形をしている。。二代目よりも全体的に現代的なデザインでシャープさが増した印象。 ・二代目音楽堂の老朽化が進んだため、昭和58年(1983年)に(一財)日本宝くじ協会の寄付により全面改築工事を行い、三代目音楽堂として完成し、現在に至ります。 ・三代目音楽堂も二代目に引き続き、様々なジャンルのコンサートが開催されています。バンドブームとなった90年代は、ヤオンが新人バンドの檜舞台となり、様々なミュージシャンがヤオンの舞台を踏み、多くの伝説的ライブが生まれました。90年代以降は、ヤオンで育ったミュージシャンが、再びヤオンで演奏する機会も増えてきています。 ・今後、三代目音楽堂の外観などをデジタルアーカイブすることを予定しています。 現状の課題 施設の老朽化、バリアフリー化、楽屋機能等の不足、バックヤードの不足 施設の老朽化 屋根材の劣化の写真 屋根材が全体的に錆びている 外壁コンクリートのひび割れの写真 外壁コンクリートに亀裂が入っている ・屋根材の劣化や排水ドレンの劣化による排水不良のため、恒常的な雨漏りが発生しています。 ・床や外壁コンクリートのひび割れが発生しています。 ・雨漏り等の影響により、壁・床材の劣化や、建具の開閉不良が生じています。 バリアフリー化 勾配が急なエントランスの写真 ヤオン入口から客席エリアへの勾配がきつい通路 ステージが見えにくい車椅子席の写真 客席後方に配置された車椅子席は前列の一般席と床面が同じ高さになっている ・入口から車椅子席までのアプローチ動線は、現行法令に則った勾配で整備されておらず、車椅子使用者のためのスロープやエレベーターなどの整備が必要です。 ・一部の車椅子席は、前列の観客が立つとステージが見えにくい状況です。 楽屋機能等の不足 ・楽屋や倉庫は、数・面積ともに不足しています。 ・楽屋が少ないため、可動式パーテーションで一部屋を間仕切りするなど、使い勝手が悪い状況です。 バックヤードの不足 ・バックヤード(搬出入ヤード)の面積が不足しており、円滑な資機材搬出入ができないことや、スタッフ車両の駐車場所の確保などが課題となっています。 ・公園利用者の動線と資機材の運搬動線が交錯しています。 2ページ 再整備の方針 3点 一点目、これまでの野外音楽堂の開放感を継承します。 ・ステージからも客席からも空が見えるヤオンとします。 ・緑に囲まれたヤオンを継承します。郷土の森の樹木については、現状のまま保全します。 ・客席及びステージ棟については、樹木への影響を避けるために、現状のエリア内で再整備します。 二点目、誰もが利用しやすいヤオンとして再整備します。 ・エントランスについて、急勾配なスロープを改修するとともに、エレベーターを設置します。 ・2階観覧エリアを新設し、誰もがステージを見やすい空間となるよう配慮します。 ・かもめの広場について、バリアフリー化を推進します。 三点目、ヤオンのステージ機能を拡充します。 ・施設の向きの変更や防音壁の改修により、公園外への音漏れを低減します。 ・楽屋、倉庫の増設やバックヤードの新設により、出演者の快適性や公演関係者の利便性を向上させます。 将来イメージ図 ※樹木の配置はイメージであり、今後の検討によります 客席から見たイメージ ステージは木目調の扇形でドーム状の天井で覆われており、扇形のステージは奥に行くにつれて段状に狭くなる。ステージ脇の壁も段状になっていて、音響調整効果がある。 鳥瞰のイメージ 木目調の2階観覧エリアが1階席をぐるりと囲むリングのように配置されている。 エントランス廻りイメージ 園路側から見たエントランスの計画イメージ図。正面の大階段の先のエントランスの左右にはエレベーターが設置されている。 断面計画イメージ 図 左側からエントランス・エレベーター、照明置き場、観客席後方(2階観覧エリアの床の高さ)にミスト装置、2階観覧エリア、観客席、ステージ及びステージ棟、設備置き場、バックヤードの断面図 ・車椅子使用者を含めた観客のステージの見やすさ(サイトライン)に配慮し計画します。 ・2階観覧エリアを新設することで、観客のサイトラインを確保するとともに、既存施設と同等数程度の客席数を計画します。 ・観客席後方にミストを設置します。 平面計画イメージ 現況平面図  観客席、ステージ棟、バックヤード及び、郷土の森、かもめの広場の配置図 計画平面図  既存のバックヤード、郷土の森、かもめの広場の位置は変わらない  祝田通りからアプローチできるバックヤード、2階観覧エリアが新たに配置されている  ステージと観客席が、公園の中心方向を向くよう、角度を振っている。(現況平面図では、ステージの向きは祝田通りと平行している) 3ページ 大音楽堂の魅力向上 バリアフリーの推進、楽屋機能等の充実、バックヤードの充実、ステージの向き、防音壁の設置 バリアフリーの推進 ・エレベーターとスロープを併設したエントランス空間を整備することで、現行法令に適合させるとともに、誰もがアプローチしやすい計画とします。 現況エントランス 現行法令の基準を満たさない勾配が急なスロープ 図 現況のエントランスとバリアフリースロープの平面図 計画エントランス エレベーターは2機整備し多様な利用者に対応 図 計画エントランスの平面図。大階段(途中に広い踊り場を挟む)の左右にエレベーターが配置されており、バリアフリースロープは既存の物を生かしつつ、急勾配を避けるため折り返しを設ける。 楽屋機能等の充実 ・既存施設の楽屋の室数は2室しかありませんが、計画では、最大7室利用できるようにし、出演者だけでなく運営スタッフも利用できるよう配慮します。 ・楽屋については、公演前の音出しや声出しが可能となるよう、防音に配慮します。 ・また、倉庫についても数を増やして、使い勝手に配慮します。 現況2階 平面図 ステージ裏シモテ側の一角に小さな倉庫が一つあるのみ。 計画2階 平面図 ステージ裏の面積が大きくなり、カミテ側には倉庫が2つと大楽屋1室と通常楽屋1室、シモテ側には倉庫が3つと大楽屋1室とエレベーターが配置されている。 現況1階 平面図 ステージ裏カミテ側・シモテ側の両方に倉庫と楽屋が一つずつ配置されている。 計画1階 平面図 2階同様ステージ裏の面積が大きくなり、カミテ側に大きめの倉庫1つ、シモテ側に楽屋2室とエレベーターが配置されている。 バックヤードの充実 ・既存のバックヤードに加え、公園利用者を避け、祝田通り側からアプローチできるバックヤードを新設します。 ・新設するバックヤードは、資機材搬出入用の大型車両が2台程度駐車して利用できる広さとします。 図 計画のヤオン全体と祝田通り、国会通りを含めた平面図  既存のバックヤードは国会通り側、新設バックヤードは祝田通り側に配置。バックヤード間はサービス通路を通じて行き来可能。 ステージの向き ・ステージの向きを公園の中心方向に回転させることで、公園外に対する騒音を低減させます。 図 既存のステージ位置と音の影響範囲イメージ及び、計画ステージ位置と音の影響範囲イメージを色分けして示した図 ※音の影響範囲のすべてを表すものではありません。  既存のステージは国会通りを背に配置されていて、音の影響範囲のイメージが左手側の祝田通りまで及んでいる。  計画のステージの向きは既存の位置から公園の中心方向に角度を振り、音の影響範囲のイメージが公園の敷地内に収まっている。 防音壁の設置 ・外周部に防音壁を設置することで、ヤオン外への騒音を低減させます。 ・防音壁を効果的に配置することで、ステージから発生した音が反射して特定の場所に集中することを防止する計画とします。 ・2階レベルまで防音壁を嵩上げすることで、防音機能を向上させます。 ・防音壁間に透明のスリットを設置することで、防音壁の圧迫感の低減に努めるとともに、公園の緑が感じられる計画とします。 図 ステージから発生した音の反射を矢印で示したイメージ図  客席を囲む防音壁により客席へ多方向に音が反射している。 樹木の取り扱い ・樹木は可能な限り現在の位置に残すこととし(侵略的外来種は撤去)、移植が必要となった場合には樹木診断を行った上で、公園内もしくは一旦公園外に仮移植した後に復植します。 注釈:侵略的外来種 もともとその地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のことを外来種といい、外来種の中でも、その地域の自然環境に大きな影響を与え、生物多様性をおびやかすおそれのあるものを、「侵略的外来種」といいます。 今回のエリアでは、トウネズミモチ等が該当しており、今回の再整備に合わせて撤去することとしています。 図 ヤオン敷地内及び周辺の樹木について、撤去樹、移植樹、既存樹の配置イメージ図   以上